rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年3月13日 戦略巡航ミサイルの水中発射訓練実施を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記訓練が3月12日払暁に実施されたことを伝える朝鮮中央通信の記事を掲載した。記事の骨子は、次のとおりである。

  • 訓練目的:「武器体系の信頼性を確認し、・・潜水艦部隊(複数)の水中対地上攻撃作戦態勢を検閲判定」
  • 発射状況:「潜水艦『8.24英雄艦』が朝鮮東海景浦湾水域から2基の戦略巡航ミサイルを発射」
  • ミサイルの飛行状況:「朝鮮東海に設定された1,500㎞界線の距離を模擬した『8』字型飛行軌道を7,563~7,575秒(約126分)間飛行して標的を命中打撃」
  • 訓練意義:「米帝南朝鮮傀儡逆徒の反共和国軍事的蠢動が露骨化している現情勢を終始一貫して圧倒的で強力な力で統制管理していく我が軍隊の不変の立場が明確に表明」、「多様な空間における核戦争抑制手段の経常的稼働態勢が立証」

 同訓練は、昨日報道された中央軍事委員会において決定された「米国と南朝鮮の戦争挑発策動が刻一刻と危険界線に近づいている現情勢に対処して、国の戦争抑制力をより効果的に行使し、威力的に攻勢的に活用するための重大な実践的措置」の一環であろう。したがって、今日から開始された米韓の「自由の盾」訓練が終了されるまでの間は、同種の活動が繰り返される可能性があるとみるべきであろう。

 そうした対抗活動の狙いは、9日に金正恩が視察した「火力襲撃訓練」に際して記した通り(3月10日付け本ブログ)、「状況は自分たちが主導的にコントロールしているということをアピールすること」であろう。それは、前掲の今次訓練の意義に関する表現(下線部)でより一層明確に示されている。「虚勢」と言えば「虚勢」だが、北朝鮮指導部としては、それなりにそうした姿勢を(おそらく国内向けに)示す必要を感じているのであろう。