rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年10月13日 金正恩の長距離戦略巡航ミサイル試験発射指導を報道(加筆版)

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が12日に実施された標記試射を現地で指導したことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 試験発射の目的:戦術核運用部隊に作戦配置された長距離戦略巡航ミサイルの戦闘的性能と威力をより高め、全般的作戦運用体系の信頼性と技術的安定性を再確証する
  • 飛翔状況:2発を発射、朝鮮西海(黄海)上空に設定された多元・8字型飛行軌道にしたがって、1万234秒(≒2時間51分)飛行、2,000㎞界線の標的に命中
  • 試射成果:武器体系全般の正確性と技術的優越性、実戦効果性を完璧に確認
  • 金正恩の結果に対する反応・発言等:「試験発射結果に大満足を表示」、「(同発射は)敵どもに再度送る我々の明々白々たる警告であり、我が国家の戦争抑制力の絶対的な信頼性と戦闘力に対する実践的な検証であり鮮明な誇示」。試射関係者と記念写真撮影(約80人)
  • 金正恩の今後の方針に関する発言、「絶え間ない国家防衛力の強化は、国の尊厳と自主権、生存権死守のため少しも揺るがせにできない、揺るがせてはならない一貫した不変の我々の革命方針、闘争基調」、「国家核戦闘武力の無限大で加速的な強化発展に総力を集中」

 軍事力誇示の動きが止まらない。「国の尊厳」を発揮するためには、米韓の軍事力誇示には対しては、それに倍する力の誇示が必要と考えているのであろうか。成り行きを注視するしかないようである。

 

以下14日午前零時加筆

参考:これまでの巡航ミサイル試射状況(北朝鮮報道ベース)

2022年9月11日:朴正天立ち合いの下、国防科学院が実施。「領土と領海上空に設定された楕円および8字形飛行軌道に沿って7、580秒を飛行して1、500キロメートル界線の標的に命中」。実施結果、「新しく開発したタービン送風式エンジンの推進力をはじめとする技術的指標とミサイルの飛行制御性、複合誘導結合方式による末期誘導命中正確性が設計上の要求を全て満たした」ことを確認、「兵器システム運用の効率と実用性が優れたものに実証された」

2022年1月25日:国防科学院が「長距離巡航ミサイル体系更新のための試験発射」を実施。2発発射、東海上に設定した飛行軌道にしたがって、9,137秒、1,800㎞界線の目標島に命中。要人の立ち合い報道はなし。