rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年6月17日 党中央委第8期第8回全員会議拡大会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が6月16日から開催されていることを報じる記事を掲載した。

 記事内容は、いたって簡略であり、党中央委全員会議の初日報道で通常示される議題や初日の討議状況などについての具体的記述はなく、添付の写真も主席檀正面を中心とした1枚だけであった。

 そうした中で注目されるのは、まず、会議形式が拡大会議とされたことで、これは同会議の招集を決めた5月28日付けの政治局決定には示されていなかったことである。拡大会議としたのは、「党中央委員会と内閣の該当部署幹部、道・市・郡人民委員長、道農村経理委員長、省・中央機関・重要工場の責任幹部が傍聴している」ためであろう。

 次に、議事内容については、①「2023年上半年度の経済部門をはじめとする各部門の事業状況を総括対策」、②「党の強化発展と国家建設、変化する国際情勢に対処した国家外交及び国防戦略に対する問題など我が革命発展において重大な意義を持つ政策的問題を討議決定」とされている。

 これを、前述政治局決定で示されていた議事内容と比較すると、①の部分に関しては、政治局決定で言及のあった「人民経済計画遂行実態」という表現が抜け落ち、代わりに、「経済部門をはじめとする」という表現が加えられている。実態的には余り変わっていないのかもしれないが、「計画遂行実態」に直接言及しないという点で、やや腰が引けた印象を感じるのはうがちすぎであろうか。

 一方、②の部分では、「国家外交及び国防戦略に対する問題」が含まれることが明示された(政治局決定では、「我が革命発展において重要な意義を持つ政策的問題を討議」とのみ表現)。先般来、折に触れ示してきた「新冷戦」の深化という国際情勢認識及び米韓に対する厳しい対抗姿勢を政策的に定式化・具体化する何らかの決定を打ち出すのであろう。

 最後に、金正恩について、「会議に参席された」としか表現されていないことを指摘しておきたい。従前では、これに加えて、「会議を司会された」とかの表現があるのだが、少なくとも本日報道の限りでは、そうした表現は認められない。ただ、本日掲載の記事は、前述のとおり、初日の討議状況を具体的に報じてはいないので、明日以降、それを報じる中で、「司会」したという事実関係を報じる可能性もあろう。

 いずれにせよ、明日以降の関連報道が注目される。