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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年12月1日 政治局会議開催し、12月下旬の中央委全員会議の開催を決定

 

 本日の「労働新聞」は、党中央委第8期第11回政治局会議が11月30日開催され、金正恩の「司会」により、党中央委第8期第6回全員会議の「12月下旬」開催を決定したことなどを伝える記事を掲載した。同記事が伝える政治局会議の概況は、次のとおりである。

  • 参加者:政治局常務委員会委員、政治局委員、候補委員
  • 議題:「中央委員会第8期第6回全員会議の招集に関する問題」
  • 報告(趙勇元):「今年の党と国家の主要政策執行実態が概括分析」、「第8期第6回全員会議に上程する主要議題が提起」
  • 金正恩の発言:「(今年は)史上初めての逆境であったが、党中央の正確な領導力により、国家の変革的発展のための新たな局面が開け、国の国威と国光が新たな境地へと上昇した」、「新年度党と国家の主要政策執行のための作戦を力動的に、前進的に、科学的に、細部的に樹立する上で提起される原則的問題について結論」
  • 会議結果:「12月下旬に党中央委員会第8期第6回会議を招集することについての決定書を採択」

  本日の「労働新聞」は、これとは別に「政治局決定書」を掲載。それによると、第6回全員会議の開催目的は、「2022年度党及び国家政策の執行状況を総括し、2023年度事業計画と現時期党と国家の革命発展において提起される一連の重要問題を討議決定するため」とされている。

 年末に中央委員会全員会議を開催して、その年の総括と翌年の事業計画策定などを行う(それを以って「新年辞」に代える)のは、翌年年初に党大会が開催された2020年末を除き2019年末以降の恒例になっており、以上のような決定も、そうしたスタイルの延長線上のものといえる。ただ、金正恩の発言のうち、今年の成果について、自ら、「党中央の正確な領導力により」成し遂げられたものと述べていることには、驚かざるを得ない。

 また、余談だが、「国光」というのは比較的珍しい表現と思う。「朝鮮語大辞典」によると、「国家の威力又はそれが輝かせる栄光」と説明されている。「国威」とほとんど同じ意味だが、意義を少しでも強調するため、敢えて重ねて用いたのであろう。

 ちなみに、これら記事の中には、今年の計画貫徹に向けた叱咤激励的な表現はほとんど見受けられない。政治局会議でも、そうした話は出なかったということの反映と思われるが、今年の計画は完遂できそうな見込みなのか、あるいは、既に諦めているのか、判断に悩むところである。