rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年9月26日 党中央委第8期第10期政治局会議を開催

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が9月25日開催されたことを伝える記事を掲載した。同記事の骨子は、次のとおり。

  • 参加者:政治局常務委会委員、政治局委員、候補委員(金正恩は出席せず)
  • 進行:「金正恩同志の委任により・・組織秘書である趙勇元同志が会議を司会した」
  • 討議内容:「今年の農事実態を点検し、該当農業政策を徹底して執行するための問題を重要議題として討議し、重要決定書を採択」(決定書内容は報道せず)
  • 重点事項:「当面の秋収(稲刈り)と脱穀にすべての力量と手段を総動員、総集中させ、糧穀収買(国家による買い上げ)と供給事業を改善し、党と国家の糧穀政策執行を阻害するあらゆる現象との闘争を強度高く展開することについて強調」

 同記事は極めて簡略なもので、報道内容は上記に尽きる。今年の最重点課題の一つが食糧増産であり、現在がその締めくくりの最重要作業である収穫の時期であることから、それへの総力集中などを議題とした政治局会議の開催は、それ自体、驚くべきことではない。そうした取り組みは、例えば、9月19日付け「労働新聞」の社説「すべての力を総動員して今年の農事を成果的に結束しよう」などでも訴えていたところである(同日付け本ブログ参照)。

 ただ、そこで、敢えて「糧穀政策執行を阻害するあらゆる現象との闘争」に言及していることは注目される。具体的には、食糧の「闇取引」のような行為を指すのであろうか。いずれにせよ、「市場経済」(供給源も含めて)への締め付けが強められるのであろう。

 また、政治局会議を金正恩が欠席し、趙勇元が司会を務めるという運営方式は、前回の第9回会議(6月7日開催)に継ぐものである。なお、前回は、同人が「政治局の委任により・・司会した」とされていたところが、今回は、「金正恩同志の委任により・・」とされているが、そうした違いに意味があるのかは判然としない。最近、常務委員会委員の報道序列においては、金徳訓総理が趙勇元を超えてナンバー2の位置を固めたようだが、こうした会議での司会は趙勇元が相変わらず務めており、権力関係の微妙なバランスが保たれていることがうかがえる。

 

  なお、昨日の本ブログで紹介したミサイル発射に関しては、北朝鮮媒体は、これまでのところ何ら報道を行っていないようである。こうした対応は、既に恒例化したともいえるが、その理由については、改めて慎重に検討する必要を感じる。