rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

3月28日 論説「国家経済の命脈と全一性を保障するために提起される重要な問題」

 

 標記論説は、端的に言えば、内閣による経済部門への指導への服従を訴えるものである。

 そのために、まず「国家経済の命脈と全一性を固守する」ということの意味について、「国家が国の重要資源と基幹工業部門を統一的に掌握して優先させていき、一つの連環として連結させていくということを意味する」と意義付け、そのための課題を二つに分けて論じている。

 第一の課題は、「内閣が基幹工業部門を統一的に掌握し優先させていくこと」である。要するに、最初の定義における「国家」の役割を果たすのが「内閣」であることを明示している。

 なお、ここで「基幹工業部門」については、「電力工業・石炭工業・金属工業・化学工業・機械工業、鉱業などが属する」と説明している。ただし、それに加えて、「我が党は、以前に電力工業、石炭工業、金属工業を鉄道運輸とともに人民経済の先行部門と、金属工業と化学工業を経済強国建設の二本柱と規定した」とも述べており、それらを総称するニュアンスも感じられる。

 いずれにせよ、論説は、「全般的な経済状況が依然として困難なのは、基幹工業部門が自らの役割を遂行できないでいることと重要に関連する」との認識を示し、それだからこそ、「基幹工業部門を他の部門に確固として優先させて発展させなければならない」と述べている。内閣による統一的な掌握は、その実現のための前提と考えられているのであろう。

 第二の課題は、「内閣が人民経済のすべての部門、すべての単位の間の生産消費的連携を円満に保障してやること」である。そして、それは、「人民経済計画の一元化事業を通じて実現される」と主張する。

 論説は、その必要性を主張するために「我が国の人民経済を一つの大きな工場であるとすれば」との仮定を用いて、各生産現場の連携の重要性・必須性を強調する。

 そして、それを阻害するものとして「機関本位主義」をあげ、「国家経済の全一性保障において癌と同じ」と批判し、各部門・企業幹部らに対して次のように訴える。

 「幹部の中から当面の利益だけ見て、展望的な利益を見られない狭隘な観点・・・を徹底してなくし、国家的立場ですべてのことを考え、すべての事業を国家の利益に絶対服従させる気風を徹底して立てなければならない」

 論説のながながとした論議の狙いは、この一文に尽きるのではないかと思われる。それだけ、「機関本位主義」の根は深いということであろう。