rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

3月30日 「外務省新任対米協商局長 談話」(4月1日記)

 

 朝鮮中央通信が伝えた標記談話(3月30日付け)について、遅くなったが若干言及しておきたい。

 同談話は、ポンペイ国務長官が25日、7か国外相会談後の記者会見において対北朝鮮経済制裁の強化に言及したことを非難するとともに、そのような発言と先般のトランプ大統領から金正恩あて親書送付との関係についての見方を示すものである。

 談話は、そのようなポンペイオの言動などを通じて「もう一度明白に確認した点」として、「朝米首脳間の親しい関係がいかに立派で固いとしても、米国の対朝鮮敵対視政策を変化させられず、米国がそのように提唱する対話再開も結局は我々が行く道を止めようとの誘引策に過ぎない」と決めつけている。

 その上で、先のトランプ親書については、「米国大統領が自らに有利な時間と環境を稼ぐために誘引策として差し出した対話看板」であったとの評価を示し、ポンペイオ発言の結果、「対話意欲をより確信性を持って狭め(た)」と主張している。

 同談話は、以上のように内容面では、対米対話について殊更に消極的な姿勢を示したものとなっている。しかし、談話の名義人が「新任対米協商局長」となっている点に着目すると別の評価も可能であろう。これまで、北朝鮮外務省にあったのは「北米局」であり、「対米協商局」なる局は存在しなかった。北米局がそう改称したのか、それとは別途に同局が設置されたのかは判然としないが、いずれにせよ、北朝鮮は、同談話を通じて、「対米協商」を主任務とする局をこのたび立ち上げたことを明らかしたのである。時期はともかく対話再開に備えたものと考えるのが自然であろう。北朝鮮としては、依然として、米国の歩み寄りを粘り強く待つとの姿勢を維持していると考える。