rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年6月20日 プーチン大統領訪朝が終了(修正版)

 

 プーチン大統領の訪朝が終了した。現時点で北朝鮮側の公式報道はなされていないようなので、とりあえず、韓国報道などを総合して、その訪朝中の主な動向を整理したところ、次のとおりである。

  • 到着:19日午前2時22分、平壌順安)国際空港に到着。金正恩出迎え、専用車に同乗して宿舎(錦繡山国賓館)まで案内
  • 公式歓迎式展:午後12時ころから金日成広場にて実施(金正恩のほか崔善姫外相、朴正天秘書、李日換秘書、鄭慶沢総政治局長、金予正副部長ら参席)
  • 拡大首脳会談:午後12時40分ころから宿所にて約1時間30分以上開催。同席者は、北側:金徳訓総理、崔善姫外相、朴正天秘書、金成男党国際部長、尹正浩対外経済相、任千日外務省副相。ロ側:ラブロフ外相、第1副総理、エネルギー部門副首相、大統領宮代弁人、同補佐官、駐北大使、国防長官、天然資源部長官、保健部長官、交通部長官、国防次官、鉄道公社社長、ロスコスモス社長
  • 単独首脳会談(非公式):午後2時ころから同所にて約2時間実施(当初予定約1時間)
  • 「包括的戦略同伴者関係に関する条約」署名:両首脳、その後共同記者会見(プーチンは、同条約が「協定当事者の一方が侵略を受けた場合の相互支援を規定」と、金正恩は、朝ロ関係を「同盟関係という新たな高い水準に達した」と発言)
  • 宿舎付近にて、プーチンが追加で贈った乗用車を自ら運転して金正恩とドライブ、散策
  • 市内「解放塔」(戦士ソ連将兵追慕碑)に献花・参拝
  • 歓迎公演観覧:平壌体育館、金正恩同席
  • 歓迎宴:木蘭館、金正恩出席
  • 出発:20日零時ころ平壌国際空港を出発、:金正恩見送り

 ひとことで言って、極めて盛大、熱烈な歓迎ぶりである。両国関係の緊密化を内外に誇示したいとの思惑によるものであろう。

 世間の関心は、「包括的戦略同伴者関係に関する条約」の内容、とりわけ「侵略を受けた場合の相互支援」の自動性に寄せられているようだが、そうした詮索は、余り意味がないと考える。何故なら、仮に一方の国にそのような事態が生じたとしても、他方の国がそれにいかに対応するかは、その時の状況を基にした自国の利害関係を考慮して決定すると考えられるからである。ロシアにせよ北朝鮮にせよ、その考慮において、協定上の規定に強く拘泥されるとは考えられない。両国(そして両指導者)ともに国際法上の義務を尊重する意思のないことは、これまでの両国の行動を想起すれば、余りにも明らかである。

 「条約」に基づくにせよ、「侵略を受けた」か否かを判断するのは、行動を起こす側であるから、当該事態は、その国の攻撃ないし挑発によるもの(つまり「侵略」ではない)とみなせば、何もする必要はなくなる、また、「支援」の方法も実に様々である。

 当面は、朝ロ共に「反米」で一致しており、その限りで協調を深めていくであろう。ただ、それは、換言すると、どちらかの国の「反米」に揺らぎが生じた場合、この「同伴者」関係に亀裂が入ることは避けがたいことを意味する。いつまでウクライナ戦争が続くのか、仮にトランプ再選が実現し、対北姿勢を一変させた場合、どうなるのか、そうした将来の様々な可能性を視野に入れると、プーチン訪朝で誇示された朝ロ蜜月関係の持続期間は、せいぜい数年と考えるべきであろう。