2024年10月4日 金正恩の西部地区特殊作戦部隊訓練基地への現地視察を報道(金予正談話も掲載)
本日の「労働新聞」は、金正恩が10月2日、標記訓練基地を「現地視察」したことを報じる記事を激しい訓練状況等を写した多数の写真と共に掲載した。また、金予正の10月3日付け談話も別途掲載した。それらの骨子は、それぞれ次のとおりである。
ア 金正恩「西部地区特殊作戦部隊訓練基地現地視察」(10月2日)
- 同行者:李永吉総参謀長、金永福副総参謀長、李創浩副総参謀長兼偵察総局長
- 視察対象:「基地では、諸特殊作戦旅団戦闘員が・・強度の高い訓練を行っている」、「名実ともに最精鋭戦闘部隊としての威力と気概を余すところなく示した」
- 金正恩言動(特殊作戦部隊関係):「戦闘員たちが異なる戦闘状況に完璧に熟達した姿を満足げに眺められ・・政治的・思想的に軍事技術的に肉体的にしっかり準備してきたことについて高く評価」、「今日、我が軍隊の特殊作戦武力が共和国の戦争抑止力と戦争遂行能力において中枢的核心力量になることについて再び強調」、「特に訓練で我々の方式の新しい方法論を不断に研究適用し熟達させて、どの軍隊とも比べようもない絶対的基準を創造」するよう督励
- 金正恩言動(「国軍の日」関係):「尹錫悦傀儡が記念辞なるもの・・を読み下したが、これは傀儡が抱えている安保不安と焦燥感を現したもの」、「『韓米同盟の決然として圧倒的な対応』だの、『政権の終焉』だのといった虚勢を張り、好戦的空威張りを濾過なしにさらけ出したのは地域の安全と平和を害する勢力がまさに自分らであることを自認したもの」、「敵が『万一』・・共和国の主権を侵害する武力使用を企図しようとするなら、容赦なく核兵器を含む手中の全ての攻撃力を使用する」
- 記念写真撮影:「訓練に参加した将兵」と記念写真を撮影(添付写真では、それぞれ700~800人程度の集団との写真が3枚あり、3個の「特殊作戦旅団」が参加したとみられる)
イ 金予正談話:「野良犬の群れの『力自慢』か、植民地雇用軍の葬儀行列か =大韓 民国の『国軍の日』記念行事を見た所感について=」(10月3日付け)
- 「(1日、ソウルで行われた「国軍の日」記念行事では)「3軸打撃システム」と有人・無人兵器システムを含む80余種の各種武力装備を全部持ち出して、あらゆる美辞麗句で「強い国軍」の姿だの、「対北抑止力の誇示」だのと騒ぎ立てたりした」
- 「米軍の戦略爆撃機B1Bが今回の記念行事の主役として登場し、韓国軍を査閲した」
- 「弾頭の重量が8トンに及ぶので戦術核兵器レベル同様という荒唐無稽な詭弁で粉飾された玄武5弾道ミサイルという化け物も登場させた」が「我々の放射砲1台の発射能力は、在来の弾頭の爆薬量で換算すれば900トンの爆発力に等しい」
- 「戦略兵器をたった一つも保有できなかった群れが「戦略司令部」なるものをつくり上げたことは、脱毛病にかかった犬がかぶとをかぶったこと同様である」
- 「今回、尹錫悦が戦争熱に浮ついてついた対決悪態は、終焉を控えた者の最後の悲鳴にすぎない」
金正恩の特殊作戦部隊訓練基地への視察は、9月11日に次ぐものであり、特殊作戦部隊に対する思い入れの強さがうかがわれる。なお、同行者中の金永福副総参謀長、李創浩副総参謀長兼偵察総局長の両人は、その際にも名前があげられていたが、順序が逆であった。金永福が若干なりとも格上げになったのか、たまたまの記載順なのか、判然としない。
いずれにせよ、今次報道で注目されるのは、金正恩が尹大統領の「国軍の日」における発言に言及の上、それを批判したことである。「国軍の日」行事に対しては、前掲のとおり金予正談話でも登場兵器などを具体的に紹介しつつ辛辣に批判している。
こうした発言・談話からは、韓国側の北朝鮮に対する圧迫的な姿勢を殊更に印象つけた上で、それへの「強硬かつ確たる対敵立場と方針」を示すことによって、国内的に「大きな信念と勇気、胆力を倍加」させようとの狙いがうかがわれる。こうした動きには、来週開催予定の最高人民会議における「統一」問題に関する憲法改正に向けた「地ならし」的な意味会いも込められていると思われる。
細かな点であるが、金予正談話中の「我々の放射砲1台の発射能力は、在来の弾頭の爆薬量で換算すれば900トン」との部分が気になる。6連装とすると、北朝鮮の戦術核弾頭1発の威力は、通常爆薬150トン相当ということになる。果たして、これを信じてよいのやら、慎重な検討が必要であろう。