2024年10月16日 「青年学生の人民軍への入隊、復帰嘆願」動向を報道
本日の「労働新聞」は、「全国的に140余万人の青年学生が人民軍への入隊、復帰を嘆願」と題する朝鮮中央通信の記事を掲載した。以下は、その一部抜粋である。
- 「神聖な我が共和国の主権と安全を侵犯した韓国の人間のくずを懲罰するという敵撃滅の意志が、全国に満ち溢れている」
- 「我が国家の首都に対する重大主権侵害挑発行為によって自滅を促す戦争前夜の緊張状態を作っておきながらも、盗人猛々しい鉄面皮な妄言だけを吐いて狂奔する韓国の連中をせん滅するという民族挙げての闘争の先頭に、数百万の青年大集団が立った」
- 「集計資料によると、14、15の両日だけでも全国的に140余万人の青年同盟(社会主義愛国青年同盟)の幹部と青年学生が人民軍への入隊、復帰を熱烈に嘆願(志願)した」
- 「白頭山英雄青年突撃隊の指揮官と隊員、金策製鉄連合企業所(咸鏡北道)、大安重機連合企業所(南浦市)、金正淑平壌紡織工場の青年をはじめとする全国の数多くの勤労青年は、・・不倶戴天の敵を断固一掃する気概で祖国防衛の第一線に嘆願した」
- 「金日成総合大学(平壌)、金策工業総合大学(同)、平北工業大学(平安北道)、桂応相沙里院農業大学(黄海北道)など全国の各大学でも、・・戦争狂に本当の戦争の味、砲火の味を見せる決意を披歴した」
- 「新世代の復讐者の隊伍、人民軍への入隊、復帰の嘆願者の隊列は、時間が経つほど増え続けている」
同記事の添付写真には、先を争うよう入隊嘆願書に署名する各地の青年学生の集会の様子が示されている。言うまでもなく、当局の指示により、14日以降、各地で青年同盟組織を動員した官製集会が開催され、こうした「嘆願」活動が展開されているのであろう。
北朝鮮でこうした青年学生の軍入隊・復帰嘆願キャンペーンが全国的に展開されるのは、昨年3月、「(米韓が)無分別な軍事的脅迫に奔走し朝鮮半島の緊張と対決を爆発前夜に激化させている」ことに対抗する形で、「(3月)17日一日だけでも全国的に80余万名に達する青年同盟幹部と青年学生が人民軍隊入隊と復隊を熱烈に嘆願」して以来のことである(その後、19日までに140万余名と報道。奇しくも今回と人数が一致)。ちなみに、この際には、そうした動きと並行するかのように18,19の両日、金正恩の「指導」下で「核反撃仮想総合戦術訓練」が実施され、その一環としてミサイル発射も行われた。
なお、昨日(15日)には、金予正が「無人機」関係で4回目となる短文の「談話」(標題なし)を発表し、「我々は、韓国の軍部ごろが朝鮮民主主義人民共和国の首都上空を侵犯する敵対的主権侵害挑発行為の主犯であるという明白な証拠を確保した。挑発者は、ひどい代償を払うことになるであろう」(全文)と主張したが、3回目の談話と同様、「労働新聞」には掲載されていない。
また、同じく昨日には、北朝鮮軍が東西の軍事分界線北側の南北連結道路の爆破を実行したが、この動向についても北朝鮮は報道していない。
今回の事態(「無人機飛来」)を北朝鮮の立場ないし主張を基準に昨年3月の状況(米韓の軍事演習等による圧迫)と比較すると、はるかに重大かつ直接的な侵害ということになろう。今後、内外に向け、どのような対応を展開するのか、大いに注目される。