rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2026年5月18日 金正恩が全軍の師・旅団指揮官会合を招集・出席を報道

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が5月17日、全軍の師・旅団指揮官会合を招集し、同会合に出席・発言したことを報じる記事を掲載した。

 同会合には、李永吉総参謀長、朴正天国防省顧問が同席し、金正恩が指揮官らを慰労・激励するとともに、「一連の重要軍事問題について談話を交わした」後、党中央本部前にて記念写真を撮影したとされる。

 報じられた金正恩の主要発言は、次のとおりである。

・ 訓練体系の改編:「戦闘準備の完成のための訓練は軍隊の本業」、「現代戦の変化する様相と我が軍の発展推移に即して訓練体系を整備し、実用的訓練を強化する」、「我が軍の軍事技術装備が急速に近代化されることに応じて全ての空間における作戦概念を新しく定義し、部隊の戦闘訓練に適用するための計画も積極的に推し進めなければならない」

・ 軍事機構の改編:「今後、我が軍を軍事編制的に、軍事技術的に更新するための機構的対策を立てるようになる」、「特に、南部の国境線を守っている第1線部隊を強化し、国境線を難攻不落の要塞とするべきだという我が党の領土防衛政策に言及」、「今後取るようになる軍事組織構造の改編と第1線部隊をはじめとする重要部隊を軍事技術的に強化するための構想を披歴」

・ 装備充実の展望:「今後の5カ年計画期間の課題が遂行されれば、我が軍の戦略的行動の準備態勢は現在と比べようもなく更新される」

・ 思想教育の堅持:「全軍の指揮官と各級が階級意識、主敵意識を引き続き高め、常に高度の臨戦態勢で主権死守の聖なる本領に忠実であるべき」

 上記金正恩発言からは、今後、北朝鮮軍が新装備の開発・配備や現代戦の様相変化(ウクライナ戦の教訓等を反映か)などに応じて、各種ドクトリンの見直しを行い、それを具現する訓練内容、部隊編成などの改編を実施しようとしていることがうかがわれる。

 そして、その主たる柱の一つが「南部の国境線」すなわち韓国に向き合った前方部隊の防御力強化なのであろう。軍事分界線付近における防壁の建設などは既に一昨年来進められてきたところだが、上記発言が示唆するのは、そうした施設建設等にとどまらず、部隊戦闘力(装備)の強化である。その中には、5月6日の重要軍需工業企業所現地指導に際して視察した「今年中に南部国境の長射程砲兵部隊に装備させる3個大隊分の新型(155mm)自走平曲射砲」などが含まれるのであろう。

 今次会同は、全軍の主要部隊指揮官に対して、そうした軍事分野での改編の趣旨をあらかじめ周知徹底することに主眼を置いたものと考えられる。

 ちなみに、金正恩は、そうした装備面での対韓戦闘力強化の方針に加え、思想面でも「主敵意識」の高揚を改めて指示しており、これらの言動を見ただけでも、(ただの「2国家論」ではなく)「敵対的2国家論」の具現・定着を目指していることに疑いの余地はないといえよう。