2024年5月28日 日中韓首脳会談での「非核化」論議を非難の外務省代弁人談話を掲載。衛星打ち上げ失敗は報道せず
本日の「労働新聞」は、「国家の神聖な主権を侵害する敵対行為をいささかも許さないであろう」と題して、日中間首脳会談での北朝鮮非核化論議を非難する外務相代弁人談話(5月27日付け)を掲載した。同談話の骨子は、次のとおりである。
- 「27日、大韓民国が主催した韓日中3者首脳会談ではいわゆる朝鮮半島と地域の平和と安定維持、朝鮮半島の非核化をうんぬんする「共同宣言」が発表された」
- 「韓国がいわゆる「非核化」と「平和と安定」についてうんぬんすること自体が地域諸国と国際社会に対する愚弄であり、欺瞞である」
- 「韓国が主導する国際会議の場で朝鮮民主主義人民共和国の憲法的地位を否定する重大な政治的挑発が強行されたことを受けて、これを我が国家の自主権に対する正面切っての挑戦、乱暴な内政干渉とらく印を押し、強く糾弾、排撃する。今日、朝鮮半島の非核化を論じるのは・・重大な政治的挑発、主権侵害となる」
- 「朝鮮民主主義人民共和国は、・・正義と公平に基づいた地域の新たな力学構図を構築していくための重大な努力を傾けていくであろう」
同談話が直接的に非難の矛先を向けているのは韓国であるが、「国際会議の場で・・政治的挑発が強行された」などとの表現からは、それに参加した中国への不満もうかがわれる。
北朝鮮がまさにその3国首脳会談の日に衛星打ち上げを行ったことは、そうした不満・反発の反映とみるべきであろう。
その結果は、周知のとおり失敗に終わり、直後に。全文次のとおりの朝鮮中央通信社報道(同日付け)が発表された。
「朝鮮民主主義人民共和国国家航空宇宙技術総局は、主体113(2024)年5月27日、平安北道鉄山郡西海衛星発射場で偵察衛星『万里鏡1―1』号を新型衛星運搬ロケットに搭載して発射を断行した。
新型衛星運搬ロケットは1段の飛行中、空中爆発して発射が失敗したと国家航空宇宙技術総局副総局長が明らかにした。
彼は、非常設衛星発射準備委員会の現場指揮部専門家審議において新しく開発した液体酸素+石油エンジンの動作信頼性に事故の原因があるとの初歩的な結論を下したと言及した。また、その他の原因になりうる問題点も審議すると述べた。」
同報道によると、今次打ち上げの失敗は、新たに開発したエンジンを搭載したロケットを使用したためであり、ある意味で、前進過程の中での1歩とみるべきであろう、昨年にも2回の失敗を経て初の偵察衛星打ち上げに成功した経緯があることを踏まえると、2基目の偵察衛星が軌道に乗るのは時間の問題と考えておいた方がよいように思われる。
なお、同報道は、本日の「労働新聞」には掲載されていない。昨年同様、国内的には口を拭う方針のようである。
余談だが、同発射時における日本のマスコミ(特にテレビ局)の反応は、過剰に過ぎるのではないだろうか。政府の沖縄県を対象下としたJ―アラート発令は必要であったとしても、そのために日本中のテレビ番組をすべて中断する必要があったのか、字幕でのニュース速報程度で十分ではなかったのか。そうした対応が、本当に国民の「安全・安心」のためになるのか、真剣な検討を期待したい。
以下加筆
中国としては、3国首脳会談「共同宣言」において、「北朝鮮の非核化」はもとより「朝鮮半島の非核化」が3国の共通見解にはならないよう、それなりに骨を折ったにもかかわらず、北朝鮮が前述「談話」発出や偵察衛星打ち上げなどの反応を示していることに対し、どう感じているのだろうか。
北関係を長く担当してきた部門などでは、北朝鮮らしいと改めてあきれている程度であったとしても、そうした経験の浅い李強首相などは、「面子」をつぶされたと怒り心頭なのではないだろうか。勝手な想像だが・・