rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年7月16日 金正恩が新浦市浅海養殖事業所の建設準備を現地指導

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が7月15日、咸鏡南道新浦市豊漁洞地区を訪れ、かねて同地に建設準備中の浅海養殖事業所敷地を現地指導し、同地で関係部門幹部による協議会を開催したことなどを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 従前経緯:「海の資源を最大限効果的に利用して地方がその条件に合わせて特色あるものに発展することのできるモデル創造事業を党中央委員会が直接とらえて推し進めるという金正恩総書記の特別指示に従って・・新浦市がそのモデル単位に決められ、準備事業が推進されてきた」
  • 協議会開催状況:金正恩が「指導」。金徳訓総理、趙勇元、李日煥、金才龍、朴泰成(以上党秘書)、朴正根副総理兼国家計画委員会委員長、武力機関の主要指揮官、咸鏡南道と設計部門の当該の幹部が出席(添付写真では、海岸付近に張られた幕舎内に20余名が着席)
  • 協議会での主な審議・決定事項:①「新浦市浅海養殖事業所の経済的収益と効率に関する資料報告を聴取」、②金正恩が「豊漁洞地区の沖合い水域でホタテガイとコンブの養殖」の利点を強調、③「新浦市浅海養殖事業所の建設を人民軍部隊に委任・・人民軍が国家的に重視する浅海養殖業のモデル創造対象を自分の確たる革命的姿勢と愛国愛民精神の凝結体として党と人民の前に立派に出すものとの期待を表明」、④「地方発展20×10非常設推進委員会内に浅海養殖事業所建設を全的に担当する分科を設けて海に面したその他の市、郡で養殖基地を展開する事業を管轄し指導するように体系を樹立」、⑤「地域経済発展のための特恵措置が効果を発揮できるように法律的・制度的装置を完備する問題、市、郡で核心技術者と技能工育成に力を入れる問題など実務的な課題」について対策
  • 視察状況:「協議会を終えた後、浅海養殖場水域を視察・・既に試験的に始めた貝の養殖状況について了解」(添付写真では船上の金正恩一行の姿)
  • 意義付け:「(今次)地方経済発展関連協議会は、我々式地方経済発展の画期的里程標を準備した重大な転換点として・・青史に末永く記録されるであろう」

 こうした動向は、かねて金正恩の肝いりで推進中の農村住宅建設、地方工業工場建設(毎年20か所)などに加えて、地方住民の生活水準向上策を加速するものといえる。

 特徴的なことは、同事業についても、また人民軍部隊に委任(丸投げ)されたことである。

 もう一つ注目すべきは、こうした海岸養殖事業をこの新浦市でのモデル事業と並行して、全国的に推進する構えが示されていることである。いかにも金正恩らしい性急な(よく言えば大胆な)政策展開ぶりといえる。

 ただ、11~12日の三池淵市での観光地区建設構想の提示も同様であるが、金正恩は、何故、こうした新規構想を先般の中央委全員会議では一切言及せず、その終了直後に次々に打ち出すのかというのが気になる。現在、まさにその全員会議での決定実践に向け、平壌市及び各道(12~14日)や内閣(14日)、各省・中央機関(11~14日)などの党委員会全員会議拡大会議が相次いで開催されているが、それら会議では、当然、こうした新規構想は念頭に置かれていないであろう。こうした会議の参加者は、こうした報道に接して、虚しさを感じないのであろうか。そうだとすれば、それはそれで問題のような気もするが。