rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年7月11日 朝中友好協力・相互援助条約締結60周年

 

 本日7月11日は、標記条約が1961年の同日に締結されて60周年に当たる日であることから、これを記念する様々な動向が伝えられている。

 まず、7月9日には、国務委員会主催による宴会が開催され、崔竜海同委員会第一副委員長、金成男党国際部部長、文成革同部副部長、金哲根国防省副相(陸軍中将)、朴明浩外務省副相らが出席、駐北朝鮮中国大使館から李進軍大使以下館員が招待された。そして、宴会に先立ち、崔第1副委員長と李大使の「談話」が行われ、それぞれが発言、更に宴会では、金部長と李大使がそれぞれ祝杯辞を述べたとされる。これら発言の中では、北朝鮮側(崔)は、「社会主義を核とする朝中親善」「中国党と政府の立場を確固不動に支持」などを強調、中国側(李)は、「最近国際舞台で取っている両国の共同の立場は条約の真正の意義を改めて示している」として「朝鮮の確固たる支持に感謝」の意を示したとされる(以上、7月10日付け「労働新聞」報道)。

 次に、11日には、金正恩習近平が条約締結60周年を祝賀する同日付けの電文を交換したことが報じられた。そこで、金正恩は、「(同)条約は、敵対勢力の挑戦と妨害策動がより悪辣になっている今日、両国の社会主義偉業を守護し、推動し、アジアと世界の平和と安定を保障する上でより強い生活力(効用の意)を発揮している」と述べ、習近平も、「今、世界的に百年ぶりの大変化が急速に起きている」とした上で、「両国の親善協力関係を絶え間なく新たな段階へと導いていくことにより、両国と両国人民により大きな幸福を準備する用意がある」と述べている。

 また、11日付け「労働新聞」は、「社会主義一路でより強化発展する朝中親善」と題する社説を掲載し、「帝国主義者が連合して社会主義国を孤立圧殺するため露骨的に策動している今日の現実は、朝中両国が(同)条約の精神と原則に即して団結し親善協力関係をより発展させることを要求している」とした上で、「社会主義を固く守護し限りなく輝かしていくここに朝中親善の特殊性と不敗性がある」と主張している。

 以上のような主張からは、米中対決激化という国際情勢の中で、社会主義という共通項を最大限強調して、中朝間の親善協力関係の「特殊性」を改めて確認しようとの北朝鮮の意図が明確にうかがえる。そして、中国側も、また、そのような北朝鮮の意図を歓迎同調しているように見受けられる。そうしてみると、昨今の国際情勢は、国内において正統的な社会主義体制の復元を目指す北朝鮮にとって、非常に好ましいものと映っているといえるのではないだろうか。