rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年1月28日 訪朝中であった中国外交部代表団の帰国を報道

 

 本日の「労働新聞」は、孫衛東中国外交部副部長を団長とする同部代表団が27日、訪朝日程を終え、空路平壌を出発したことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。

 同代表団については、去る1月25日、新義州経由で(つまり鉄路で)平壌に到着した後、26日に北朝鮮側のカウンター・パートである朴明浩外務省副相との会談及び崔善姫外相との接見を行ったことなどが報じられていた。それら会談等の概況については、次のとおり報じられている。

  • 朴明浩副相との会談:「双方は、『朝中親善の年』運営と関連した問題を討議し、各分野で両国間の親善交流と実務的協調を拡大発展させていくことに合意し、東アジア地域情勢をはじめとした諸地域及び国際問題において両国外交部門間の協力が持つ重要性を再確認した」
  • 崔善姫外相との接見(記事では「会った」と表現):「両党、両国殊能の崇高な意図を奉じて朝中外交関係設定75周年となる今年を『朝中親善の年』として意義深く記念し、共同の核心利益を守護するための戦術的協同と共同歩調を引き続き強化していく立場が表明された」「談話は、終始、同志的で親善的な雰囲気の中で行われた」

 同代表団の訪朝は、昨年12月の北朝鮮外務省代表団(団長・朴明浩副相)の訪中(12月17日付け本ブログ参照)に対する答礼的なものとして実施されたと考えられる。両国ともに、この往来を契機として、コロナ防疫のため断絶していた朝中の往来を正常化・活性化しようとの狙いがあるのであろう。その最大の目玉は、国交樹立75周年に当たることにちなんで、今年を「朝中親善の年」に設定したことのようである。

 しかし、こうした朝中間の交流を首脳・閣僚クラスが往来を繰り返す最近の朝ロ関係と比較すると、実に細々としたものとの印象を禁じ得ない。そうした視点で前掲の会談等に関する表現を見ると、朝ロ間でしばしば合意される「反帝闘争」とか米国に対する名指しの批判などは認められず、何か形式的に「親善」をうたっているだけのようにも思えてくる。

 ちなみに、同代表団が帰国した27日には、平壌から体育省代表団(団長・金日国体育相)が中国訪問に出発したとされる(同じ飛行機に乗ったのであろう)。「朝中親善」は、当面、スポーツ交流などの非政治分野で展開されることをうかがわせる動きと言えよう。