rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年11月16日 朝ロ政府間貿易経済及び科学技術協調委員会第10回会議の開催を報道

 

 昨日及び本日の「労働新聞」は、標記会議の開催に関する一連の記事を掲載している。その概要は、次のとおりである。

11月14日の動向(15日付け同紙報道)

  • 同会議に参加するロシア連邦政府代表団(団長:ロシア側委員長・自然資源生態学相アレクサンドラ・コズロフ)が平壌に到着。北朝鮮側委員長・対外経済相尹正浩らが出迎え
  • 部門別会談:「双方の実務幹部が参加・・今次会議の議定書に反映する諸分野での協調実現のための実践的問題が真摯に討議されている」
  • 歓迎芸術公演:万寿台芸術劇場にて開催
  • 歓迎宴会:同日夕、平壌高麗ホテルにて開催
  • その他:金日成金正日銅像に献花など

11月15日の動向(16日付け同紙報道)

  • 朝ロ政府間貿易経済及び科学技術協調委員会第10回会議:「2023年9月に行われた朝ロ首脳の歴史的な出会いと会談で成し遂げられた合意に即して貿易、経済、科学技術など各分野での多方面的な双務交流と協力事業を活性化し拡大させていくための対策的な問題(複数)が擬態的に討議確定された」、「貿易経済及び科学技術協調委員会第10回会議議定書が調印された」
  • 朝ロ政府間貿易経済及び科学技術協調委員会委員長間の会談:「会談では、朝ロ親善協調関係が新たな戦略的高みに至ったことに即して両国政府間の貿易経済及び科学技術協調をより幅広く促進するための問題(複数)が討議された」
  • 朝ロ両国体育相間の会談(期日明記されず):「会談では、朝ロ両国体育部門間の交流と交流を拡大強化するための実践的問題(複数)が協議され、2024-2026年交流計画書が調印された」(ロシア体育相は、政府代表団の一員として訪朝中)

 一連の会議、会談あるいは議定書に関しては、いずれも上記以上の具体的な内容等は明らかにされていない。朝ロ間の交流・協調は、少なくとも政府間の枠組みの範囲内においては、目玉となるほどの内実を欠くのが実態なのではないだろうか。より重要なのは、水面下での軍事ないし軍需部門での交流・協調なのであろう。

 ちなみに、今次ロシア政府代表団の団長は、先般の金正恩訪ロに際し、終始同行してホスト役を務めた人物であるが、金正恩への接見は行われないのであろうか。あるいは、一連の活動が終了後の今日あたりに会っているかもしれないが、仮にそれなしに帰国させたとすれば、訪ロの際の「おもてなし」に対し、やや薄遇ということになるのではないだろうか。