rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年1月29日 金正恩の潜水艦発射戦略巡航ミサイル試射指導及び造船部門視察を報道

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が1月28日、「新たに開発された潜水艦発射戦略巡航ミサイル『火矢(불화살-)3-31』の試験発射を指導」するとともに造船部門を視察したことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 同行者:「党中央委員会秘書(複数)、海軍司令官、その他指導幹部」
  • 試射実施状況:「7,421秒、7,445秒の間、東海上を飛行し島目標を命中打撃」、「周辺国家の安全にいかなる影響も及ぼさず、地域の情勢とは全く無関係に実施」
  • 金正恩言動:「試験結果に大きな満足を表示」、「海軍の核武装化は切迫した時代的課題であり、国家核戦略武力建設の中核的要求になる」、「海軍核武装化の実現と国家核抑止力の作用空間を多角的に拡大していく上で提起される綱領的課題を提示」
  • 造船部門視察関係:①「核潜水艦建造事業を具体的に了解」、②「核動力潜水艦とその他の新型艦船建造事業に関連する問題を協議・・当面の課題と国家的対策案を明らかにされ、その実行方途に関する重要な結論を与えられた」

 これに先立ち、韓国軍は28日、北朝鮮が同日午前8時ごろ、東部の咸鏡南道・新浦付近の海上巡航ミサイル数発を発射したと発表していた。上記報道は、この発射を指すものであろう。

 北朝鮮による潜水艦発射巡航ミサイル発射の報道は、2023年3月12日に「8・24英雄艦」(潜水艦)から2発を発射したと主張したのが最初であり、今次報道は、それに次ぐものとなる。

 また、去る1月25日には、朝鮮中央通信が、ミサイル総局が1月24日、「開発中にある新型戦略巡航ミサイル『火矢(불화살)3-31』型の初試験発射を実施した」ことを報じていた(25日付け本ブログ参照)。今から考えると、24日の試射は、今次試射に向けた予備実験であったのかもしれない。

 今次試射については、実施主体が明記されていないが、24日の同型ミサイルの試射がミサイル総局により行われたとされている以上、今次試射も同総局が実施したと考えるべきであろう。

 また、飛行距離等も示されていないが、昨年3月12日の試射に関しては、「1,500㎞界線の距離を模擬した『8』字型飛行軌道を7,563~7,575秒(約126分)間飛行」とされた。今次の飛行距離は、飛行時間で前回と大差なくても、新型であることから速度が上昇し前回よりも延伸している可能性がある。ただし、そうであれば発表してもよいはずのところ言及がないのは、さほどの進展がないためとも考えられる。

 このほか、同ミサイルが潜水艦から発射されたのか否かも判然としないが、この点についても、仮にそうであれば、それを誇示すると思われるので、おそらく水中発射台を利用したと考えられる。

 ちなみに、北朝鮮は、昨年、前述の潜水艦発射巡航ミサイルの試射を皮切りに核関連の軍事活動を相次いで繰り返した。今年は、どうなるのか注目される。