rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年2月20日 600mm放射砲の射撃訓練を実施

 

 本日、韓国軍は、北朝鮮が午前7時ころから同11分ころにかけ平安南道粛川付近から東(日本)海に向け、短距離弾道ミサイル2発を発射したと発表した。

 朝鮮中央通信は、その約1時間後の8時17分ころ、標記の訓練実施を報じる記事を掲載した(発射直後の報道は極めて異例。通常は翌日に報道)。同記事の骨子は、次のとおりである。

  • 訓練実施主体:西部前線長距離砲兵部隊 該当放射砲兵区分隊
  • 背景事情:米韓は、「2月19日戦略爆撃機『B1B』とステルス戦闘機『F35』など10余機を動員した連合空中訓練」を実施し、「(北朝鮮の18日の)大陸間弾道ミサイル発射訓練に対する真正面の対応性格の訓練であった」と誇示、「今後も米戦略資産の南朝鮮展開頻度と強度を引き続き高める」と吹聴している
  • 訓練概要:「威力示威射撃を実施」の命により、「20日朝、600mm放射砲を動員」、「395㎞と337㎞射距離の仮想目標を設定し東海上に2発の放射砲弾を射撃」。「その他の区分隊(複数)は、実射撃は行わず、坑道陣地において火力服務訓練を同時に実施」
  • 武器解説:「600mm放射砲は、我が軍隊の最新型多連発精密攻撃武器体系として・・恐るべき威力を誇る戦術核攻撃手段」、「4発の爆発威力で敵の作戦飛行場機能を麻痺させるよう焦土化できる」
  • 今次訓練実施の意義:「空中優勢を自慢する米国・南朝鮮連合空軍力量に対する人民軍隊の徹底した抑制準備態勢と対応意志が余すところなく誇示された」

 要するに、北朝鮮ICBM発射に対抗した米韓の訓練に対し、改めて対抗して優勢を誇示するために放射砲を発射したということであろう。つまり、米韓との力の誇示競争から降りるつもりはないということを示したものと言える。先般来の金正恩の「強くなくてはならない」という信念の繰り返しの表明とも符合する動向であろう。

 こうした北朝鮮の姿勢に対して米韓側がどこまで付き合うのか、見ものである。

 なお、こうした中、金予正がまたも談話を発表した。それについては、別項で論じたい。