rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年8月24日 農場責任管理制規定の改正について

 

 朝鮮総連の機関紙「朝鮮新報」は、8月23日、北朝鮮の内閣機関紙「民主朝鮮」の記事(掲載日不詳)を引用する形で、標記規程の改正内容を報道する記事を掲載した由である(韓国SPNソウル平壌ニュースによる。以下同じ)。その骨子は、次のとおりである。

  • 規程の構成:8章・81条で構成
  • 規程の趣旨:「農場責任管理制の実施において守るべき原則と農場の任務、権限について具体的に規定」
  • 規程の使命:「社会主義企業責任管理制の要求に即して農業責任管理制を正しく実施し、農業生産の安定的で持続的な発展を成し遂げ、国の富強発展に積極的に貢献するようにする」
  • 改正内容:「農場の経営管理改善において提起される問題と計画権、生産組織権による生産活性化を実現するために提起される問題をより細分化して明示」
  • その他の規定内容:「農場での管理機構及び労力調節権による労力の合理的で効果的な利用」、「販売権財政管理権による経営資金造成と利用において徹底して順守すべき要求」
  • 規程改正の結果:「農場において、生産手段に対する社会主義的所有に基づいた実際的な経営権を持って、経営活動を主動的に創発的に行っていき、農業生産と管理において農業勤労者の責任性と役割をより高めることのできる発展担保が準備された」

 管見の限りでは(これはいつもながら、あてにならないのだが)、「農場責任管理制規定」なる規程の存在はもちろんのこと、「農場責任管理制」という概念自体、これまで公けに示されたことはなかったのではないだろうか。

 上記報道から推測するに、同概念は、従前は、国営企業などに適用されてきた「「社会主義企業責任管理制」の下位概念として位置づけられており、同規程に基づき、個別の農場に対し、「計画権」、「生産組織権」、「管理機構及び労力調整権」、「販売権」、「財政管理権」などの権限が付与されていると考えられる。

 また、同規程がいつ、いかに制定されたのかは判然としないが、「最近」における同規程の改正(「修正補充」)は、そうした農場の権限を一層強化する方向で行われたもののようである。

 結局のところ、こうした規程の制定及び改正は、本ブログにおいて何回も言及してきたように、農場の改編が協同農場をより企業的なものとする方向で進められていることを改めて確認させる動きと言えよう。そして、そうした改編は、農場ないし農業経営における単なる「市場経済化」でもなく、また逆に当局による統制強化だけでもない、いわば第3の道を志向するものと考えられる。

 いずれにせよ、こうした動きは、世間的には余り注目されていない(「民主朝鮮」にこのオリジナル記事が掲載された際には、SPNソウル平壌ニュースや聯合通信などの韓国報道機関はそれに言及しなかった)が、実は、北朝鮮社会に広範な影響を及ぼすものであり、今後の関連動向を注視していきたい。

 

 なお、参考までに、これまでに報じられた関連法規の改正動向を付記しておく(いずれも、当該時期に本ブログに掲載したもの)

  • 農場法改正:社会主義農業企業体としての農場の定義、穀物予想収穫高の判定、穀物義務収買計画の示達、農場事業の条件保障と関連した条項が修正」(2022年12月8日報道の最高人民会議常任委員会常務会議にて)
  • 農業法改正:「農業指導原則、生産計画作成と生産組織、地力向上、生産指導と企業管理改善、独立採算制、分組管理制、作業班優待制実施と政治的・物質的評価に関する内容、農業生産と生産物の処理秩序に違反した場合に該当する処罰内容」(2023年8月4日報道の最高人民会議常任委員会常務会議にて)