2026年1月5日 金正恩「参観」下でのミサイル発射訓練実施を報道
本日の「労働新聞」は、軍の「主要火力打撃集団管下区分隊」が1月4日、ミサイル発射訓練を実施し、金正恩がこれを参観したことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。
・ 同行者:金正植党(軍需工業部)第1副部長、張昌河ミサイル総局長
・ 訓練目的:①極超音速兵器(ミサイル)体系の準備態勢を評価、任務遂行能力を検証・確認、ミサイル兵の火器操作能力を熟練させる、②戦争抑止力の持続性と効率、稼働性に対する作戦評価
・ ミサイル飛翔状況:①平壌市力浦区域から北東に発射、②朝鮮東海上の1000キロ離れた、設定された標的を打撃
・ 金正恩の注目発言:①「今日の発射訓練を通じて非常に重要な国防技術課題が遂行されたことを確認」、②「最近、我々の核戦力を実用化、実戦化する上で重要な成果が収められている・・持続的に軍事的手段、特に攻撃兵器体系を更新しなければならない」、③「戦略的攻撃手段の常時の動員力とその致命性を敵に不断に、そして繰り返して認識させること自体が、戦争抑止力行使の重要で効果のある方式・・それがなぜ必要なのかは、最近の地政学的危機と多端な国際的出来事が説明している」
韓国軍は北朝鮮が3日午前7時50分ころ平壌付近から弾道ミサイル数発を発射、東(日本)海上まで900㎞余り飛翔したと発表していた。
今次発射については、ミサイル部隊の「発射訓練」とされているものの、金正恩の発言①からは、ミサイルの性能確認のための試射的な側面も含まれていることがうかがえる。既に配備済みであったミサイルの技術的改造を進めている可能性もあるのではないだろうか。
なお、今次発射の政治的狙いについては、韓国では、①李大統領の訪中(3日から)に対する牽制、②米国のベネズエラへの軍事侵攻に対する反発・警告、の二つの見方が取りざたされている。①については、無きにしも非ずの感じがするが、②については、軍事侵攻に余りに接近しすぎていて、それほど直ちに訓練を実施できるのか疑問に感じる。「常時の動員力」を発揮したと見るべきなのかもしれないが、発言中の「最近の地政学的危機と多端な国際的出来事」への言及は、後知恵的なものとも考えられる。ただ、いずれにせよ、米国のそうした行動が、力の保持・発揮が最大の抑制力という金正恩のかねての主張の妥当性を裏付けるものとなったことは間違いないであろう。
ちなみに、北朝鮮は、4日、朝鮮中央通信社記者の質問に対する外務省代弁人の回答との形で姿勢を明らかにしている。その骨子は、次のとおりである。
・ 「今回の事件は・・米国のならず者としての、野獣的な本性を今一度はっきり確認させるもう一つの実例である」
・ 「米国の覇権行為を最も重大な形態の主権侵害に、主権尊重と内政不干渉、領土保全を基本目的とする国連憲章と国際法に対する乱暴な違反と烙印を押し、それを強く糾弾する」
・ 「国際社会は・・米国の常習化した主権侵害行為に当然な抗議と糾弾の声を高めるべきであろう」
なお、同発言は、これまでのところ朝鮮中央通信で配信された一方、本日の「労働新聞」には掲載されていない。時間的に間に合わなかった可能性もあるので、明日の紙面を見ないと確たることは言えないが、仮に非掲載のままでいくとすると、今次態度表明が代弁人の「談話」ではなく、記者の質問への回答という一等低いレベルの形式をとったことともあわせて、トランプ政権への「忖度」の可能性も否定できないといえよう。