2026年4月8日 張金哲外務省第1副相兼10局局長が談話を発表
朝鮮中央通信は、4月7日、張金哲外務省第1副相兼10局局長が「最も敵対的な敵国である韓国の正体は変わらない」と題して同日発表した談話を配信した。その骨子は、次のとおりである。
・ 「(4月6日の金與正談話)に対する青瓦台を含む韓国内の各界の分析は、実に見物・・愚かな馬鹿の『希望交じりの夢合わせ』として記録されるであろう」
・ 「『よくやった、お前たちが安全に生きていくにはそのように率直に自分の罪を認めることもあるべきだ・・楽に生きたいのなら我々に手出しするな!』これが私が読んだ(金與正)談話の基本線である」
・ 「今日も、金與正部長は・・(国連人権理での「決議」に関し)韓国は村の犬が吠え立てると考えなしにつき従って吠える脱毛症にかかった犬だと評し(た)」
・ 「共和国の最も敵対的な敵国である韓国の正体は、当局者がいかなる言葉を述べ、行動を取っても決して変わらない」
第10局は、従前、党統一戦線部の後身として党中央委に置かれていたところ、最近(おそらく党大会を契機に)外務省に組織ごと移管され、張金哲が外務省第1副相兼同局局長に就任したとの説が伝えられていた。同談話の発表を通じて、それが公に確認されたことになる。
なお、張金哲は、久しく対韓関係に従事してきた(すなわち統一戦線部系列の)人物として知られている。これまで統一戦線部長ないし10局局長を務めてきた李善権が党大会を機に中央委委員から外れ社会民主党委員長(その後、最高人民会議常任委副委員長にも)就任した後を継いだのであろう。
談話の内容に先立ち、そうした組織改編・人事異動の意味を考えると、まず、対韓関係業務を党中央委から外務省に移管したのは、明らかに、「敵対的2国家論」すなわち韓国を「祖国統一」の対象としてではなく外国とみなす立場を徹底・鮮明化するためと言えよう。
ただ、その担当局の局長に第1副相という高い地位を与えたことは、韓国が他の外国に比較し、はるかに重要な対象として位置づけられていることを示すものといえる。もちろん、その「重要性」は、友好・協力関係から来るものではなく、脅威としての重要度であることは言うまでもないが、それにせよ、北朝鮮にとって、韓国が無視したくてもできない独特の存在であることを改めて印象つけるものである。
更に言うと、「外務省10局」と言うのは対外的・表面的な看板に過ぎず、実際の「10局」は、相変わらずいわゆる「(党の)3号庁舎」において、崔善姫外相の指揮を受けることなく(おそらく金正恩の直接指導下)、従前とさほど変わらない活動を続けている可能性も考えられる。談話中に金與正との日常会話が盛り込まれていることも、そうした位置関係を暗示しているようにも思える。いずれにせよ、第1副相とは言え外務省関係者が党総務部長の談話の意味を解説し、その非公開発言を明らかにすることは、普通にはありえないことであり、両者の密接な関係がうかがわれる。
談話内容については、7日付け本ブログで金與正談話に関し指摘した、北朝鮮の「敵対的2国家論」の基調に変化なしと言うことを改めて強調したものであり、驚くにはあたらない。ただ、その言葉使いの汚さにはあきれるしかない。従前の金與正談話の類似表現も、あるいは、今次談話の起草者(グループ?)によるものであったのではないかとさえ思ってしまう。金與正談話とあいまっての硬軟の揺さぶり戦術と言うことが出来るのではないだろうか。
他方で、金與正談話の寛容さに強硬派が不満を抱いて、その修正を図るためにこうした談話を出した(軍もそれに呼応して弾道ミサイルを発射した)と見ることも理論的には可能かもしれないが、現実には、北朝鮮指導部内でそこまで露骨な分裂が存在するとは考え難い。なお、昨晩の失敗に続く今日の弾道ミサイル発射については、明日の北朝鮮の報道ぶりを確認の上、論じたい。