rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

10月16日 今日も「軍民大団結」や「国家的利益」を強調

 昨日に続き、今日も「軍民大団結」関連の記事・評論がいくつか掲載されている。

 その一つは「強国建設の力強い推動力」と題する評論で、第7回党大会における金正恩の結語の中から「軍民大団結」強化を訴える言葉を引用し、その実践を訴える内容となっている。

 同評論は、「軍民大団結こそ首領決死擁衛の砦であり、祖国の尊厳と自主権を固く守護することができるようにする必勝の宝剣」とした上で、その意義について、次のような金正恩の言葉を紹介している。

 「人民軍隊の革命的軍人精神、軍人気質、軍人振りが全社会に充満するようにしなければなりません。すべての活動家(幹部)と勤労者が祖国保衛哨所と社会主義大建設戦闘場において高く発揮されている人民軍軍人たちの崇高な精神世界と献身的な闘争気風に従い学び自らの革命哨所を前線とみなして命令を受けた兵士の姿勢で戦闘的に働き生活していくようにしなければなりません」

 要するに、昨日の記事でも書いたとおり、「軍民大団結」とは、党の指示・命令なら無条件・絶対的に実践・貫徹するという軍隊式の気風を全社会的に徹底することである。

 もう一つ注目される評論は、これもかねて紹介してきたものと共通するのだが、「国家的利益を優先させる立場に立とう」と題して、個別の企業の利害関係や事情に固執して国家的利益を害する行為を戒めるものである。

 そこでは、「目前の生産実績だけを考えて原料や資材を浪費したことはないか、国の貴重な地下資源と山林資源、海洋資源の利用と保護においてどの側面を配慮したのか、自己の単位で生じた廃水によって他の単位が被害を受けたり国の環境に否定的後遺を及ぼしたことはないか」などとの問いかけがなされている。

 なぜ、今、以上のような主張が繰り返調されるのか。党の指示・命令に対し、あからさまな批判や反対はせずとも、様々な困難事情を挙げたり、あるいは私事や企業の個別的利害を優先させて、結局、その実践を怠る現象が加速度的に蔓延しているからと考えるのが常識的な推測であろう。一言で言えば「面従腹背」である。これこそが北朝鮮指導部が最も憂慮する北朝鮮社会の「宿痾」なのではないだろうか。