rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

10月12日 「軍民大団結」強調、「幸福の権利」とは?

 本日も、前掲ブログの内容と共通する面白い記事が掲載されていたので紹介したい。

 第一は、「軍民大団結」を称揚するポスターが制作されたことを紹介する記事。軍人とシビリアンが肩を並べて立つ姿に「軍民大団結の偉大な伝統を擁護固守し、さらに輝かしていこう」という文字が配されたポスターの写真も掲載されている。国防への貢献を国民の第一の責務と強調した論説と通底するものがうかがえる。

 ただし、このような主張を「先軍路線」復活の兆しなどととらえるのは早計であろう。むしろ、「経済建設への専念」という昨年来の路線を補完するために、(戦略的意義を持つ特定兵器の開発などは除き)一般軍部隊維持のための物資などはできるだけ民間からの支援に頼り国庫からの支出は最低限にとどめようとの狙いが想定できる。

 第二は、「幸福の権利」と題する政論で、題目だけ見ると福祉政策の強調のようだが、実は正反対の内容。「社会と集団のために自分の血と汗を捧げる人だけが本当の幸福の味を味わうことができる」のであり、「幸福の権利、それは党と首領、祖国と人民に無限に忠実なときにのみ帯びることができる」などと強調。

 党と首領などへの献身の訴えには何らの新味もないが、それを「権利」という言葉と絡めているところが興味深い。前項紹介の論説とも関連するが、社会的に何か「権利」とかを主張する声が広がりつつあるのであろうか、大いに注目される。