rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年8月11日 政論「後代たちを愛せ」

 

 本日の「労働新聞」の冒頭に掲載された標記評論は、相変わらず長文かつ多岐にわたる内容なので、つまみ食い的に注目部分だけ紹介したい。

 前段「1」では、「我々は何故、革命の道に立ち、万難試練を克服し、この道を進むのか。ほかでもない後代たちの幸福と明るい未来のためである」とした上で、「我々が思い描く革命の新たな勝利は、決して経済建設においての目覚ましい成果だけを意味しない」のであって、「我々の後代たちをしっかりと育て、立派に教養して彼らを労働党の真の息子娘、社会主義祖国の働き手として準備させることは、何にも代えることができない貴重な勝利となる」と主張している。

 後段の「2」では、冒頭、「我々の父である金正恩元帥様!」とした上で、同人の後代のための様々な「業績」をあげる。そして、それらを踏まえて、「金正恩同志、まさにその方こそがこの国の人民と数百万の息子娘が自らの運命も未来もすべて託し永遠に奉じ仰いでいく慈愛深い親、我が党と革命の偉大な首領であられる」と称賛している。

 末尾の結びの部分では、「全国の千万人民よ、革命の勝利のため、偉大な我が国家の燦爛たる明日のため敬愛する総秘書同志のように未来を愛し、後代たちのため献身奮闘せよ」と呼び掛けている。

 なお、後継世代をいかに育成するかについては、同日掲載の「革命の後備隊を育てる上で我が党が一貫して掲げている目標」と題する論説において、「白頭山精神でしっかりと武装させることは、新世代を革命の頼もしい継承者として育てる上で提起される優先的要求である」、「抗日先烈が帯びた革命的で戦闘的な闘争気風に従い学ばせることは、新生代を明日の立派な働き手として準備させる上で必須的要求である」などとして具体的に示されている。そして、その要諦は、「抗日革命先烈は、首領が与えた命令指示を執行する上で少しの値切りや駆け引きもしらない堅決な闘士であった」、すなわち首領の命令を絶対無条件に実行する人物になれという点にあると考えられる。

 以上のような政論の主張(特に「1」の部分)は、体制に忠実な後継世代の育成、すなわち体制の存続自体が「革命」の目的と化していることを物語るものといえるのではないだろうか。そして、それは、経済建設不振が故の苦肉の主張ではなく、首領の意志実現を目的とする「首領制」の本質に基づくものであると考える。