rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年2月18日 政論「新たな勝利に向けた第一歩を大きく踏み出そう」

 

 標記政論は、北朝鮮が党大会そして中央委員会全員会議を経て目指している「新たな勝利」への理解・共感を与えるために掲載されたと考えられるが、非常に長文であるので、つまみ食い的に、注目される部分だけを紹介したい。

 同政論は、北朝鮮の経済建設が厳しい状況にあることを認めつつも、その主原因について、「事実上、今日の主たる障害は目に見える難関である前に陳腐で無責任、旧態依然とした働きぶりである」として人々の内面的問題に求めている。

 そして、その論理的帰結として、「新たな勝利とは新たな人間の誕生である。真正な意味での新たな勝利は、我々が昨日とは違う、より高い目標と志向、創造気風を帯び、進取性と実力がより高い境地に到達することであるといえる」と主張する。

 更に、それは他の誰かではなく各自が取り組むべき目標であるとして、「新たな勝利は、まさに自分自身から、誰もがこの志向を抱いて闘争しよう」と呼びかけている。

 端的に言うと、今現在北朝鮮が目指しているのは、一種の「人間改造」「人間革命」ということになろう。

 同政論の筆者は、동태관(董太光・音訳)であり、これまでも、重要テーマに関して政論を執筆することが多かったように思う。本政論の以上のような趣旨も、全員会議で経済指導幹部らの姿勢を批判した金正恩の意向を反映したものではないかと推測される。ただ、そういった精神主義的訴えで直面する困難を本当に克服できるのか、大いに疑問と言わざるを得ない。