11月23日記事「甫田担当責任制を実情に合わせて行わなければならない―龍江郡浦城協同農場において」(11月24日記)(地名、農場名は音訳)
本記事は、「今年の農業生産において先頭に立った単位の経験」として掲載されたものであり、本ブログにおいてかねて注目してきた甫田担当責任制の具体的な運用状況を知る上で貴重な内容を含んでいる。
記事によると、この協同農場において、同制度の実施において重視した点は、「まず甫田等級を様々な農事条件と大衆の意思を反映して意見(不満の意)がないように規定し、農場員に甫田を分担させること」である。「甫田等級を正確に定めてこそ、穀物生産計画(目標の意)を正しく与え労働に対する分配を正しく実施」できるからである。ここで考慮した具体的な重要項目としては、「地力状態と水保障及び機械化条件、甫田までの距離」などがあげられている。それらに基づいて、個別の農場員ごとに「(担当する)甫田等級と担当面積」及び「穀物生産計画」を定めたのであろう。
次に重視した点は、「すべての農場員が集団主義精神を高く発揮するようにする」ことである。同記事によると、各農場員の体力、技術技能などには差異があるため、それらの弱い者を助けないと、農場全体として生産低下を招くことになる。そこで、「土地起こしのような力のいる仕事と種まき、育苗、農水管理など高い技術技能を要する作業は、徹底して分組が集団的に行う」ようにしたという。ただし、その場合は、「助けてやった農場員と助けを受けた農場員に対する労力日評価を正確に行うようにした」という。それによって、各自の貢献度が的確に報酬に反映されることを期したのであろう。
以上のような記述を通じて、甫田担当責任制の実施においてまず重要なことは、耕地をいかに(誰がどの耕地をどれだけ)分担するか、そして、各自が分担した耕地の諸条件に即して、それぞれの耕地(つまり担当者)ごとの生産目標をどれだけとするか、を決定することであることが分かる。それを上部が一方的に決めれば農場員には不満が残る。この農場では、その決定に際しては、各地域の実情に精通した分組員の意見を充分斟酌したとされている。
また、前述のように耕地を個別の農場員に担当させた場合でも、営農作業のうち節目となる重要なものは、集団で行われることがあること、また、その折には労力日評価を行うことによって、報酬配分が「悪平等」にならないよう配慮がなされていることも分かる。以前のブログで、「(収穫によって担当者の報酬が決められるべき)甫田担当責任制において労力日評価を行うことの意味は何か」という旨の疑問を呈したが、以上の内容は、それに対する解答となるものであろう。
ただし、以上の事例は、あくまでも「先頭に立った経験」であり、全国的な模範として提示されているものである。そのことは、換言すると、多くの協同農場においては、耕地の分担の決定方法がおざなりで農場員の不満を買ったり、営農が時に個人任せとなって技能の劣る者の生産が著しく低下したり、あるいは集団作業における各人の貢献度が適切に評価されなかったり、といった様々な問題がなお残されていることを物語っているとも考えられる。