rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月31日 「党中央委7期5次全員会議第3日会議進行」

 

 28日から続く標記会議は、3日目の30日、ようやく金正恩の報告を終えた。「7時間」に及んだという。本日の記事は、その「党中央委員会事業状況と国家建設、経済建設、武力建設と関連した総合的な報告」の主な柱としては、次の点を挙げている。

1⃣経済事業体系と秩序を整頓することについて

2⃣人民経済主要工業部門の課題について

3⃣農業生産を決定的に増やすことについて

4⃣科学、教育、保健事業を改善することについて

5⃣増産節約と質向上を強力に展開し、生態環境を保護し、自然災害防止対策を確立することについて

6⃣国の自主権と安全を徹底して保障するための積極的で攻勢的な政治外交及び軍事的対応措置を準備することについて

7⃣反社会主義、非社会主義との闘争を強化することについて、

8⃣勤労団体事業を強化し、全社会的に道徳紀綱を立てることについて

9⃣党を強化し、その領導力を不断に高めることについて

🔟幹部たちの役割を高めることについて

 以上の10項目を昨日の記事で紹介された6項目と比較すると、本日の1⃣、2⃣が昨日の①に、本日の3⃣が昨日の②に、本日の4⃣が昨日の③に、本日の5⃣が昨日の④に、本日の6⃣が昨日の⑤に、本日の7⃣と8⃣が昨日の⑥にそれぞれ対応しており、以上の項目は初日及び第2日に言及された内容と考えられる。

 それらは、概して昨日の報道と類似の表現が用いられているが、6⃣において「政治外交及び軍事的対応措置を準備」との表現が付け加えられている点が注目される。ここからは、今後、積極的な外交攻勢を活発化することとし、対米交渉でも外交次元での交渉と並行して(その余地は残しつつ)、何らかの軍事的対応措置(これをただちに「長距離ミサイル発射」と予測するのは早計であろうが)を予定していることがうかがえる。

 残りの9⃣、🔟は、「党を強化し、幹部達の役割を高める上で提起される原則的問題」として、3日目会議で言及された内容と見られる。9⃣については「我が党を組織思想的により強化し、革命の参謀部としての領導力を非常に高め、生気と活力にあふれた戦闘的な党として強化発展させるための課業と方途を具体的に言及された」と、また🔟については、「幹部が党の領導思想を無条件に徹底して貫徹し、高い理想と抱負を抱いて我が人民のために滅私服務することについて強調」したとの説明がなされている。🔟はかねて指摘してきた幹部の執務姿勢などを抜本的に改善することを目指したものと考えられる。9⃣の党の活性化措置もそれと表裏一体に進められるのではないだろうか。

 以上で金正恩の報告は一応終了し、続いて「(参加者たちは)該当議題に対する討論に積極的に参加し(た)」とされる。

 その後、会議は、「該当議題の決定書草案と次の議題として討議されることになる重要文献に対する研究に入った」とされ、更に「継続される」とのことである。

 このうち、「決定書草案」は、前述の金正恩報告を受けてのものと考えられるが、「次の議題として討議されることになる重要文献」が何に関するものかは、皆目見当がつかない。また、それらについて、参加者が「研究する」というのも、中央委員会全員会議としては異例の進行方法といえよう。

 今次会議は、参加者数(韓国報道では千人規模。会場写真では少なくとも7~800人はいるようにみえる)でも、会期でも、まさに党大会ないし党代表者会に匹敵するものといえる。繰り返しになるが、金正恩の並々ならぬ思いがうかがえる。

 なお、最後に昨日の記事で金正恩が「白シャツ姿」で演説と記したが、正確には「白色の上着」のようなので、お詫びして訂正します。