rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年5月29日 党中央委第8期第8回全員会議の招集を決定(人工衛星発射も通告)

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議を「6月上旬」に招集するとの5月28日付け党中央委政治局決定書を掲載した。

 同決定書は、全員会議の目的として、「202年度上半年期間党及び国家行政機関の事業状況と人民経済計画遂行実態を総括対策し、我が革命発展において重要な意義を持つ政策的問題を討議する」ことを挙げている。

 会議目的の内、前段はこの時期において当然予測される内容であり、おそらく、農業部門での田植え完了などの「成果」を強調しつつ、今年度目標(特に、「人民経済発展のための12大高地」)の実現に向け更なる奮起を督励するのであろう。

 一方、後段部分(下線部)は、何を指すのか判然としない。前段のフォローアップ的なものにとどまる可能性もあるが、何か想定外のテーマが提起される可能性もあり、注目される。

 ちなみに、我が国の報道によると、北朝鮮は、5月31日から6月11日までの間に人工衛星を発射する旨、通告したとのことである。衛星の打ち上げ予定時期が全員会議の開催日と一致するのは、偶然とは考えにくい。去る5月16日の金正恩による非常設偵察衛星発射準備委員会に対する現地指導に基づく偵察衛星の発射を敢行し、全員会議に花を添える意味があるのであろう。

 なお、日本政府は、同通告に関し、国連決議で禁止されたミサイル技術を利用した打ち上げであるとして、「自制」要求であるとか、「破壊措置命令」発出とか、強い反発の姿勢を前面に押し出している。それが国連決議違反であることは事実であるにせよ、奇しくも本日発表された日本向け外務次官談話(本日付け本ブログの当該記事参照)の内容などを踏まえると、もう少しニュアンスのある対応を工夫する余地はないのか、と思わざるを得ない。