rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年12月21日 金策製鉄連合企業所での新設備竣工を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記企業所において、12月20日、「エネルギー節約型酸素熱法溶鉱炉と1万5千㎥/時酸素分離機」の竣工式が実施されたことを報じる記事を掲載した。

 同竣工式には、金徳訓総理、呉守浩党秘書、楊乗浩副総理、金哲三咸鏡北道党委責任書記、安金哲金属工業相らが出席し、呉守浩秘書が党中央委員会感謝文を伝達したのに続き、金徳訓総理が竣工辞を述べたとされる。

 竣工式出席者の顔ぶれ及び党中央感謝文が伝達されたことなどからして、これら設備の竣工は、13日付け本ブログ参照で紹介した農業部門の黄州キンドン水路の竣工(12日)に匹敵する、重化学工業部門における今年最大の成果と位置付けられていると考えられる。

 これら設備は、要するに「主体鉄」、すなわち自前の資源・エネルギーによって生産される鉄の増産を可能にするものなのであろう(党中央委感謝文では、その完成により、同連合企業所の生産能力が2倍以上になったとしている)。まさに、国家経済発展5か年計画の基本目標である、自立経済実現のための「整備・補強」事業を代表する成果と言える。それであれば、金正恩自ら姿を現してもよさそうなものだが、前述のとおり、ミサイル兵との記念写真撮影を優先させた模様であり、軍事方面に神経を集中させているように見受けられる。