rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年9月3日 党中央委政治局第8期第3回拡大会議続報(人事関係)

 

 標記会議に関する朝鮮中央テレビのニュース映像を見たので、積み残していた人事関係について分かった範囲でいくつか指摘したい。

 まず、主席檀に着席したのは、前列が金正恩以下、崔竜海最高人民会議常任委員長)、趙勇元(党秘書)、金徳訓(内閣総理)、金在竜(組織指導部長)の5人(以上は入退場の序列順)、後列は、向かって左側から、呉日亭(軍政指導部長)、太形哲(党秘書?)、呉寿容(経済部長)、李日換(党秘書)鄭上学(中央検査委委員長、権英振(軍総政治局長)、李英吉(社会安全相)、鄭慶沢(国家保衛相)の8人、合計13人である。

 このうち、常務委員は、金徳訓まで(つまり4人)で、金在竜は含まれないと考える。その最大の理由は、会場に向かう通路の場面で、崔竜海と金徳訓は同じ場面で写されているが(趙勇元はおそらく例によって金正恩と一緒に入ったのであろう)、金在竜は、次の場面で李日換、鄭上学の後ろを歩く姿が映し出されているからである。なお、前回の政治局第8期第2回拡大会議の際は、李日換が前列に着席していた。前列はバランス上5人にするために、常務委員でなくても着席することがあるとみるべきであろう。

 そして、重要なことは、政治局委員は、以上に名前を挙げた、常務委員4人とそれ以外の9人の合計13人だけであると考えられることである。そう考える理由は、採決の際、これら人物は全員挙手しているが、会場一般席の最前列中央部分に着席している候補委員とみられる一群の人々には、そうした動きがまったくみられないことである(議決権があるのは委員のみ。候補委員は発言権のみ)。

 また、それら最前列の中には、前回政治局会での降格が推測されていた李炳哲(元常務委員)、朴正天(軍総参謀長)の姿が見えることから、彼らは、現在は、政治局候補委員の地位にあると考えられる。この2人以外にも、これまで政治局委員と見られていたが前述の13人に含まれない人物(例えば、金英哲統一戦線部長)についても、あるいは、その中に姿が映っていたのかもしれないが、私には確認できなかった。後日、韓国報道などで精密な観測結果が報じられることを期待したい。

 いずれにせよ、1月の党大会時に選出された政治局委員(常務委員を除く)14人のうち、それから8か月もたたない現在、その職を保っているのは、8人だけ(太形哲は候補委員から昇格)である。幹部の浮沈の激しさを改めて感じる。