rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年4月6日 金正恩の和盛地区第2段階住宅建設場現地指導を報道

 

 本日の「労働新聞」は、4月5日、「金正恩総書記が完工を控えた和盛地区第2段階1万世帯分の住宅建設場を現地指導」したことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 同行者:党中央委員会主要幹部(写真には趙勇元秘書、朴泰城秘書らの姿)
  • 迎接者:金正官国防省第1副相、朴勲内閣副総理と設計機関の責任幹部、和盛地区第2段階1万世帯分の住宅建設に参加した建設単位の責任幹部
  • 和盛地区第2段階区域の概況:「80ヘクタール余りの領域に1万世帯分に及ぶ様々な形式の住宅が公共及びサービス建物、施設物とバランスを取って便利に配置」
  • 金正恩の主要言動:「党に対する忠実性と堅忍不抜の精神を遺憾なく発揮した建設者たちの偉勲を高くたたえた」、「施工で現れた一連の欠点を指摘し、早急に正すための対策を立て・・仕上げの工程まで質的に、完璧に締めくくるべきであると強調」、「今年建設を始めた和盛地区第3段階と来年に予定されている和盛地区第4段階の展望計画に関する具体的な方向を明示」

 添付の写真には、同地区の景観が示されているが、第1段階が奇抜なものであったのに比較すると、やや地味(よく言えばシック)な印象を受ける。いずれにせよ、4月15日の「太陽節」前後に、改めて竣工式が盛大に行われるのであろう。

 なお、同記事を通じて、平壌市での住宅建設5か年計画の最後に当たる来年度の建設が「和盛地区第4段階」であることが明らかになった。

2024年4月6日 朝鮮労働党代表団、中国・ベトナムラオス歴訪状況(まとめ)

 

 標記代表団(団長・金成南党政治局候補委員・国際部長)の動向について、本ブログでは、3月21日の出発以降、中国での当初日程のみの紹介になっていたところ、4月2日に帰国したので、遅ればせながら全日程を改めて整理してみた。

ア 中国(3月21日~25日、4泊5日 北京、四川省成都

  • 中国共産党対外連絡部長(劉建超)と会談(21日):「(金部長は)我が党の対米、対敵闘争路線と政策について言及した」(中国側のこれに直接対応した発言は紹介なし)、「双方は、両党、両国が社会主義建設と対外関係分野において取っている政策についての互いの支持を再確認し、・・長期的で展望的な眼目で双務関係を全方位的に強化発展させるため党対外事業部門の間の協調を拡大していく立場を表明した」
  • 中国人民政治協商会議主席(王滬寧・政治局常務委員)と会った(21日):「(金部長は)朝中関係が社会主義を核とする真実で固い同志的関係で絶え間なく昇華発展していることについて言及した」、「王滬寧同志は、国際関係がいかに変われども双方の戦略的選択である中朝親善は絶対に揺るがないであろうとしつつ、常に朝鮮を立派な同志、立派な友、立派な隣邦とみなしている中国は、両党最高領導者の重要合意を実質的行動へと転化させ両国人民により大きな幸福を準備し、地域の平和と安全に貢献するであろうと述べた」、「(王滬寧は)国際及び地域情勢問題に対し朝鮮側と戦略的意思疎通と戦術的協同を強化し共同で対応することによって国際社会の正義を推進する中国側の用意を表明した」
  • 中国共産党中央委員会書記(蔡奇・政治局常務委員)と会った(22日):「(金部長は双方が)党建設と国家管理をはじめ各分野でよい経験を交換し、戦略・戦術的協同を強化することについて強調した」、蔡書記は、「血潮で結ばれた中朝親善」に言及、「互いに意思疎通を強化し、実務的協力を深化させて中朝外交関係設定75周年に当たる今年に、両党、両国の親善関係のより一層の発展を積極的に促すであろうと強調した」、「(蔡書記は)党建設と経済発展、人民の生活向上で大きな成果を収めていることをうれしく思うと述べ」た
  • 中国共産党中央外事弁公室主任(王毅・政治局員)と会った(23日):「(王毅は)血潮で結ばれた共同の貴重な富である中朝親善」に言及、「中国は今後も国際舞台で朝鮮との戦略的意思疎通と戦術的協同を絶えず強化して両党、両国人民の共通の利益を確固と守り、中朝親善を発展させていくであろうと確言」

イ ベトナム(3月25日~28日、3泊4日、ハノイ、ホチミン)

  • ベトナム共産党中央委対外部長(레 호아이 쭝)の間の会談実施(25日):「(金成南は)朝鮮労働党対米、対敵闘争路線と政策について言及」、「双方は両党、両国間の政治的紐帯を拡大強化し諸分野での協力を活性化し国際舞台において緊密に支持連帯して双務関係を新たな高い段階に昇らせるための問題を討議し見解一致をみた」
  • ベトナム共産党中央委秘書局常任秘書(조직부장인 쯔엉 티 마이)に会った(26日):「ベトナム金正恩総秘書同志を首班とする朝鮮労働党の領導の下で朝鮮人民が経済建設と人民生活向上をはじめとした社会主義建設でより大きな成果を収めることを心から祝願する」
  • ベトナム共産党ホチミン市党委員会秘書(웬 반 넨党政治局委員)に会った(27日)

ウ ラオス(3月28日~31日、3泊4日、ビエンチャン

  • 党対外関係委員会委員長통싸완 폼비한との会談実施(29日):「(金成南は)我が党の自衛的国防力強化政策と対敵闘争路線の正当性を強調」、「(委員長は)朝鮮半島の平和と安全を守護するための朝鮮労働党と政府の政策を全的に支持すると強調」、「(会談では)国際舞台において相互支持と連帯を強化するための問題を討議」
  • ラオス人民革命党総秘書ラオス民共和国主席(통룬 씨쑤릿)を儀礼訪問(29日):金正恩の口頭親書伝達

 以上の歴訪先3か国要人との会談内容を比較すると、金成南は、いずれの国でも「対米、対敵闘争路線と政策について言及」しているが、それに対する反応は、3国様々である。

 中国では、「血潮で結ばれた」を定型句にして、伝統的友好関係をうたいつつ、「(戦略的)意思疎通」や「戦術的協同」を繰り返し強調されていて、対外政策における突出を牽制され足並みを揃えるよう求められたとの解釈も可能であろう。

 更に、ベトナムでは、内政面での支持しか示されていないようにも見受けられる。

 一方、ラオスでは、「朝鮮半島の平和と安全を守護するための朝鮮労働党と政府の政策を全的に支持」の表明があり、前記2か国よりも踏み込んだ支持を獲得できたのではないだろうか。

2024年4月5日 基幹工業部門における第1・4分期人民経済計画完遂を報道

 

 本日の「労働新聞」は、第1面を費やして、「偉大な変革の進軍速度を加速化し人民経済計画全般を力強く牽引 基幹工業部門において新年度12個重要高地占領のための初分期人民経済計画完遂」と題する朝鮮中央通信の記事(添付写真多数)を掲載した。

 同記事は、各部門及び傘下主要企業所等の1・4分期における人民経済計画取り組み状況を詳細に紹介しているが、各部門全体の遂行結果に関する記述のみを抜粋すると次のとおりとなる。

  • 金属工業:「銑鉄、圧延鋼材、ケイ素鉄、鉄鉱石、耐火物など主要指標の初分期生産計画を遂行した」
  • 化学工業:「全国的な1・4分期窒素肥料生産計画が105%で遂行された」
  • 電力:「全国的な1・4分期電力生産計画が完遂された」
  • 石炭:「全国的な1・4分期石炭生産計画を109%で遂行した」
  • 機械工業:「機械工業省的な初分期計画を指標別で遂行した」
  • 採掘工業:「採掘工業省的な初分期計画が指標別で遂行された」
  • 鉄道運輸:「全国的な1・4分期貨物輸送計画を104%で完遂した」
  • 林業:「全国的な1・4分期丸太生産計画が105%で完遂された」

 昨日の本ブログで、内閣全員会議拡大会議における「初分期人民経済計画完遂」報告に対し、裏付けとなる報道がないとして信憑性に疑問を呈したが、本報道は、まさにそれに応えるものといえる(本ブログを読んで報じたわけではないであろうが)。

 こうした分期(あるいは月)ごとの部門別経済計画遂行状況が数字を含め具体的に示されるのは、比較的異例のことであり、従前に比すると今期の生産が順調に進んだことを示すものと評価せざるを得ない。

 金正恩も指摘しているとおり、平壌市及び各地農村での住宅建設に加え、「地方発展20×10政策」に基づく地方子業工場建設などと並行する形で、こうした基幹産業部門の生産が順調に進んでいるとすれば、その努力はそれなりに評価されるべきであろう。

 ただし、ここで基準とされている「12個重要高地占領のための人民経済計画」がかねて推進中の「国家経済発展5か年計画」と整合的なものなのか、換言すると、この「人民経済計画」を完遂しつづければ、それが直ちに「国家経済発展5か年計画」の完遂を意味することになるとのかについては、なお一層の検討の必要があろう。

2024年4月4日 内閣全員会議拡大会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が4月3日、画像会議形式により、金徳訓総理の「指導」の下、開催されたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。同会議の概況は、次のとおりである。

  • 参加者:朴章根、李哲民副総理をはじめとする内閣メンバー
  • 傍聴者:内閣直属機関・省・中央機関幹部と道・市・郡人民委員会委員長、農業指導機関、重要工場・企業所幹部
  • 主な議題:①1・4分期人民経済計画遂行状況の総括、②上半年度人民経済計画遂行及び「地方発展20×10政策」初年度課題実行のための対策的問題
  • 報告主要点(梁勝浩副総理):「新年度12個高地占領のための初分期人民経済計画が輝かしく完遂された」
  • 討論(複数):討論者氏名・内容等まったく言及なし
  • 会議での強調事項:「すべての部門が内閣の決定と指示に無条件服従する厳格な規律と秩序」、「経済部門指導幹部の思想観点と事業気風、執務姿勢に根本的な転換をもたらす」

 同会議の開催は、4半期ごとの定例的なものであり、開催形式・内容も恒例にそったものと言える。

 その中で注目されるのは、「報告」の中で「初分期(=1~3月)人民経済計画」が「完遂された」としている点である。ただ、仮にそれが事実であるならば、盛大に宣伝すべきことと思われるが、これまでのところ、「労働新聞」などでは、この会議報道を除き、そうした報道はない。同発表を信じるためには、もう少し検証が必要と思われる。

 なお、「会議での強調事項」の部分は、誰の発言か明示されていないが、おそらく、金徳訓総理が会議総括のような形で述べた内容ではないかと推測している。いずれにせよ、常に繰り返されている内容で格別の意味はないと言えよう。

2024年4月3日 金正恩「現地指導」下での新型中・長距離極超音速ミサイル試射成功を報道(加筆版)

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が4月2日、ミサイル総局の実施した「新しく開発した極超音速滑空飛行戦闘部を装着した新型の中・長距離固体弾道ミサイル『火星砲―16ナ』型の初の試射」を現地指導したことを報じる記事を掲載した。その骨子は。次のとおりである。

  • 同行者等:金正植党(軍需工業部)副部長
  • 迎接者:張昌河ミサイル総局長(「発射を指揮」)と国防科学研究部門幹部
  • 試射目的:「新型中・長距離極超音速ミサイルの全般的な設計技術的特性を実証し、兵器システムの信頼性を検証」
  • 試射方法:「安全を考慮して射程を1000㎞限度内に局限し、第2階段エンジンの始動遅延と能動区間での急激な軌道変更飛行方式により、速度と高度を強制制限しつつ極超音速滑空飛行戦闘部の滑空跳躍型飛行軌道特性と側面機動能力を実証
  • 飛翔状況:「平壌市郊外のある軍部隊の訓練場で東北方向へ発射されたミサイルから分離した極超音速滑空飛行戦闘部は、想定された飛行軌道に沿って1次頂点高度101.1㎞、2次頂点高度72.3㎞を経て飛行し、射程1000㎞界線の朝鮮東海上の水域に正確に着弾」
  • 試射結果:「新しく開発した極超音速滑空飛行戦闘部の敏活で優れた機動特性がはっきり実証」
  • 金正恩発言:「(今次試射成功により)異なる射程の全ての戦術、作戦、戦略級のミサイルの固体燃料化、弾頭操縦化、核兵器化を完全無欠に実現し・・全地球圏内の任意の敵の対象物に対しても『迅速に、正確に、強力に』という党中央のミサイル戦力建設の3大原則を立派に貫徹(した)」

 同試射に関連して、韓国軍は、2日、午前6時53分ころ平壌付近から中距離級弾頭ミサイルと推定される飛翔体が発射され、10分未満で600㎞余り飛行後、東(日本)海に弾着した旨を発表していた。また、日本防衛省も、最高高度100㎞、飛行距離は650㎞以上と発表していた。いずれにせよ飛行距離については、北朝鮮の「射程1,000㎞界線」とは相当の乖離がある。特異な飛行特性のため正確に把握できなかったのか、あるいは、「界線」というのが「通常の飛行であれば1,000㎞に相当する」という意味なのか定かでないが、前者とすると由々しき事と言わざるを得ないのではないだろうか。

  • 追記:この点に関し、韓国報道によると、韓国軍は、「600㎞余」との観測は確実なものであり、北朝鮮の「1,000㎞」との主張は(その他の飛行特性などに関する点と併せて)、誇張されたものとの見方を示している由である。

 なお、北朝鮮は、既に1月14日、「中・長距離級極超音速機動型操縦戦闘部の滑空及び機動飛行の特性と新しく開発された多段大出力固体燃料エンジンの信頼性を実証すること」を目的とした「極超音速機動型操縦戦闘部を装着した中・長距離固体燃料弾道ミサイルの試射」を「成功裏に実施」した旨を公表している(15日)。

 また、3月19日には金正恩の「指導」の下、「新型中・長距離極超音速ミサイル用固体燃料エンジン地上噴出試験」を成功裏に実施した旨を報じている(20日)。

 韓国の報道などによると、今次試射された「火星砲―16ナ」は、これら実験を通じて開発された「戦闘部」及びエンジンを組み合わせて製造されたもののようである。

 それが事実とすると、エンジンの噴射実験からわずか2週間でそれを実装したミサイルを打ちあげたことになる。金正恩ならずとも、北朝鮮の国防科学部門の頑張りには驚嘆せざるを得ない。

2024年3月31日 金正恩の党中央幹部学校建設場現地指導を報道(加筆版)

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が現在建設中の党中央幹部学校の建設現場を現地指導した旨を報じる記事を掲載した(訪問日は言及せず)。その骨子は、次のとおりである。

  • 同行者:党秘書(複数)、「設計及び施工単位の関係者」
  • 建設経緯:党第8回大会、第2,4,6,9回全員会議で「党中央幹部学校を規模と収容能力、教育の条件と環境など、全ての面で先進的かつ近代的な政治学院に新たに建設することについて決定」、「(金正恩は)建設の敷地も自ら定め、設計の中心課題も細心に教えて中央幹部学校を大学の上の大学につくるための活動を精力的に導いた」、「昨年4月に着工」
  • 建設規模:「延べ床面積13万3,000余平方メートル」
  • 今次指導状況:「建設現場の各所を見て回って施工の状況を具体的に了解」、「設計部門および施工単位の幹部と建設者の労苦を高く評価」、「一部の欠点と不合理な要素について指摘し、それを正すための実務的な方途を具体的に明示」
  • 金正恩注目言動:「党中央幹部学校を立派に築いて党幹部を育成するのは朝鮮労働党の交代者を養成する党の展望的発展問題、ひいては革命の継承に直結する重大な問題
  • 今後の予定:「5月中旬に完工・・創立節に際して開校式を盛大に行う」

 党中央幹部学校は、いうまでもなく、かつての金日成高級党学校(1946年6月1日中央党学校として設立、72年4月15日に改称)を前身とする党幹部の最高養成機関であり、金正恩が22年10月、同校を訪問し記念講義を行った際に、新たな名称が広く周知された。その改編は、2020年に暴露された不祥事案を契機に行われたものとみられてきたが、正確な時期などはこれまで明らかにされていなかった。「5月中旬」とされる「創立節」に際して、改編時期などが明らかにされるであろう。

 また、新たな敷地での新校舎建設も、今次報道により明らかになった。金正恩指導の下で校名を改めるだけでなく、そこを新たな「創立節」=起点と定め、更に新校舎への移転を行うことで、同校は、「金日成」色を完全に払拭し、まさに金正恩の作った学校ということになる。前記「金正恩注目言動」に引用した発言には、そうした思いが込められているのであろう。

以下加筆

 本件に関する朝鮮中央テレビの報道番組では、「労働新聞」記事には添付されていなかった多くの写真が放映された。それを通じて同学校の規模の壮大さを実感させられたが、最も注目されるのは、校内の随所の掲示されているスローガンの大半が「金正恩」を含むものであることである。前述の「金正恩の作った学校」との表現は、「金正恩により作られた、金正恩のための学校」と補足したい。

2024年3月29日 駐中大使、外相が対日交渉拒絶の姿勢を相次いで公表(30日修正版)

 

 本日、朝鮮中央通信は、日本との外交接触・交渉を拒絶する旨の李龍男駐中大使の「立場発表」なるもの及び崔善姫外相の談話を相次いで報道した。それらの状況は、次のとおりである。

ア 李龍男駐中朝鮮大使、「日本側が接触を提起してきたことに関連する立場発表」(全文)

  • 「28日、中国駐在日本大使館関係者は、朝鮮大使館参事にEメールで接触を提起してきた。我々は、日本側と会うことがない。私は、朝鮮民主主義人民共和国が日本側といかなるレベルでも会うことがないという立場を再度明白にする。」

イ 崔善姫外務相談話(骨子)

  • 「日本の岸田首相が「拉致問題」にまたもや言及し、朝日間の諸懸案解決のために従来の方針の下、引き続き努力を続けるという立場を明らかにした」
  • 「我々は、日本が言ういわゆる『拉致問題』に関連して解決してやることもないばかりか、努力する義務もなく、またそのような意思も全くない」
  • 「朝日対話は我々の関心事ではなく、我々は日本のいかなる接触の試みに対しても許さないであろう・・日本が我々の主権行使を妨害し、干渉することに対しては常に断固と対応する」

 このうち崔外相の談話は、岸田総理が28日の記者会見で「日朝が成果を出す関係の実現は双方の利益に合致する」などと述べたことを受けてのものと考えられる。

 本ブログで紹介したとおり、日朝交渉に関しては、既に金予正名義の談話が25,26日と相次いで発出されており、その上で本日の駐中大使の「立場発表」、更には外相談話と続き、いかにもバタバタとした動きが感じられる。

 本当に関心がないのなら、繰り返し「無関心」を表明する必要もないわけで、こうした一連の動きの背景には、何らかの思惑ないし事情が存在するのであろう。まったくの推測であるが、北朝鮮の内部的な事情が作用して(あるいは中国への配慮?)、外交部門が対日強硬姿勢を敢えて誇示する必要が生じているのかもしれない。

 いずれにせよ、ここまで言い切った以上、当面、公式的な日朝交渉の実現は困難であろう。