rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年4月6日 朝鮮労働党代表団、中国・ベトナムラオス歴訪状況(まとめ)

 

 標記代表団(団長・金成南党政治局候補委員・国際部長)の動向について、本ブログでは、3月21日の出発以降、中国での当初日程のみの紹介になっていたところ、4月2日に帰国したので、遅ればせながら全日程を改めて整理してみた。

ア 中国(3月21日~25日、4泊5日 北京、四川省成都

  • 中国共産党対外連絡部長(劉建超)と会談(21日):「(金部長は)我が党の対米、対敵闘争路線と政策について言及した」(中国側のこれに直接対応した発言は紹介なし)、「双方は、両党、両国が社会主義建設と対外関係分野において取っている政策についての互いの支持を再確認し、・・長期的で展望的な眼目で双務関係を全方位的に強化発展させるため党対外事業部門の間の協調を拡大していく立場を表明した」
  • 中国人民政治協商会議主席(王滬寧・政治局常務委員)と会った(21日):「(金部長は)朝中関係が社会主義を核とする真実で固い同志的関係で絶え間なく昇華発展していることについて言及した」、「王滬寧同志は、国際関係がいかに変われども双方の戦略的選択である中朝親善は絶対に揺るがないであろうとしつつ、常に朝鮮を立派な同志、立派な友、立派な隣邦とみなしている中国は、両党最高領導者の重要合意を実質的行動へと転化させ両国人民により大きな幸福を準備し、地域の平和と安全に貢献するであろうと述べた」、「(王滬寧は)国際及び地域情勢問題に対し朝鮮側と戦略的意思疎通と戦術的協同を強化し共同で対応することによって国際社会の正義を推進する中国側の用意を表明した」
  • 中国共産党中央委員会書記(蔡奇・政治局常務委員)と会った(22日):「(金部長は双方が)党建設と国家管理をはじめ各分野でよい経験を交換し、戦略・戦術的協同を強化することについて強調した」、蔡書記は、「血潮で結ばれた中朝親善」に言及、「互いに意思疎通を強化し、実務的協力を深化させて中朝外交関係設定75周年に当たる今年に、両党、両国の親善関係のより一層の発展を積極的に促すであろうと強調した」、「(蔡書記は)党建設と経済発展、人民の生活向上で大きな成果を収めていることをうれしく思うと述べ」た
  • 中国共産党中央外事弁公室主任(王毅・政治局員)と会った(23日):「(王毅は)血潮で結ばれた共同の貴重な富である中朝親善」に言及、「中国は今後も国際舞台で朝鮮との戦略的意思疎通と戦術的協同を絶えず強化して両党、両国人民の共通の利益を確固と守り、中朝親善を発展させていくであろうと確言」

イ ベトナム(3月25日~28日、3泊4日、ハノイ、ホチミン)

  • ベトナム共産党中央委対外部長(레 호아이 쭝)の間の会談実施(25日):「(金成南は)朝鮮労働党対米、対敵闘争路線と政策について言及」、「双方は両党、両国間の政治的紐帯を拡大強化し諸分野での協力を活性化し国際舞台において緊密に支持連帯して双務関係を新たな高い段階に昇らせるための問題を討議し見解一致をみた」
  • ベトナム共産党中央委秘書局常任秘書(조직부장인 쯔엉 티 마이)に会った(26日):「ベトナム金正恩総秘書同志を首班とする朝鮮労働党の領導の下で朝鮮人民が経済建設と人民生活向上をはじめとした社会主義建設でより大きな成果を収めることを心から祝願する」
  • ベトナム共産党ホチミン市党委員会秘書(웬 반 넨党政治局委員)に会った(27日)

ウ ラオス(3月28日~31日、3泊4日、ビエンチャン

  • 党対外関係委員会委員長통싸완 폼비한との会談実施(29日):「(金成南は)我が党の自衛的国防力強化政策と対敵闘争路線の正当性を強調」、「(委員長は)朝鮮半島の平和と安全を守護するための朝鮮労働党と政府の政策を全的に支持すると強調」、「(会談では)国際舞台において相互支持と連帯を強化するための問題を討議」
  • ラオス人民革命党総秘書ラオス民共和国主席(통룬 씨쑤릿)を儀礼訪問(29日):金正恩の口頭親書伝達

 以上の歴訪先3か国要人との会談内容を比較すると、金成南は、いずれの国でも「対米、対敵闘争路線と政策について言及」しているが、それに対する反応は、3国様々である。

 中国では、「血潮で結ばれた」を定型句にして、伝統的友好関係をうたいつつ、「(戦略的)意思疎通」や「戦術的協同」を繰り返し強調されていて、対外政策における突出を牽制され足並みを揃えるよう求められたとの解釈も可能であろう。

 更に、ベトナムでは、内政面での支持しか示されていないようにも見受けられる。

 一方、ラオスでは、「朝鮮半島の平和と安全を守護するための朝鮮労働党と政府の政策を全的に支持」の表明があり、前記2か国よりも踏み込んだ支持を獲得できたのではないだろうか。