rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年3月23日 労働党代表団の中国要人との会談状況を報道(24日加筆版)

 

 本日の「労働新聞」は、標記代表団団長の金成南党国際部長(政治局候補委)が、21日、「中国共産党対外連絡部長との会談を実施」し、「中国人民政治協商会議主席と会った」ことをそれぞれ伝える朝鮮中央通信の記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

 2024年3月24日加筆分

 24日の「労働新聞」は、朝鮮労働党代表団団長が、22日、「中国共産党中央委員会書記(蔡奇)と会った」ことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。その骨子は、下記に追加したウのとおりである。

 

ア 中国共産党対外連絡部長(劉建超)との会談

  • 「(金部長は)我が党の対米、対敵闘争路線と政策について言及した」(中国側のこれに直接対応した発言は紹介なし)
  • 「双方は、両党、両国が社会主義建設と対外関係分野において取っている政策についての互いの支持を再確認し、・・長期的で展望的な眼目で双務関係を全方位的に強化発展させるため党対外事業部門の間の協調を拡大していく立場を表明した」

イ 中国人民政治協商会議主席(王滬寧・党政治局常務委員)との面談

  • 「(金部長は)朝中関係が社会主義を核とする真実で固い同志的関係で絶え間なく昇華発展していることについて言及した」
  • 「王滬寧同志は、国際関係がいかに変われども双方の戦略的選択である中朝親善は絶対に揺るがないであろうとしつつ、常に朝鮮を立派な同志、立派な友、立派な隣邦とみなしている中国は、両党最高領導者の重要合意を実質的行動へと転化させ両国人民により大きな幸福を準備し、地域の平和と安全に貢献するであろうと述べた」
  • 「(王滬寧は)国際及び地域情勢問題に対し朝鮮側と戦略的意思疎通と戦術的協同を強化し共同で対応することによって国際社会の正義を推進する中国側の用意を表明した」 

ウ 中国共産党中央委員会書記(蔡奇・党政治局常務委員)との面談(24日加筆)

  • 「(金部長は双方が)党建設と国家管理をはじめ各分野でよい経験を交換し、戦略・戦術的協同を強化することについて強調した」
  • 蔡書記は、「血潮で結ばれた中朝親善」に言及の上、「互いに意思疎通を強化し、実務的協力を深化させて中朝外交関係設定75周年に当たる今年に、両党、両国の親善関係のより一層の発展を積極的に促すであろうと強調した」
  • 「(蔡書記は)党建設と経済発展、人民の生活向上で大きな成果を収めていることをうれしく思うと述べ」た
    • ここでも中国側から、北朝鮮の対外政策への支持が示されていない

 これら記事は、一見、両国関係の緊密さを誇示しているようにも読めるが、深読みすると、中国側は、北朝鮮の「対米、対敵闘争路線と政策」について手放しの賛同を示すのではなく、北朝鮮側に「戦略的意思疎通と戦術的協同」を求め、あるいはそれを前提とした上での支持姿勢を述べたとも考えられる。

 また、同代表団は、21日に北朝鮮を出発、中国入りしており、これら会談もその日のうちに行われている。何かあわただしい印象を感じるのはうがちすぎであろうか。

 同代表団については、コロナによる国境閉鎖解除後初の党代表団の訪中と言うことで、北朝鮮による対中関係緊密化に向けた努力のようにいわれている。しかし、そもそも同代表団は、中国だけでなくベトナムラオスも訪問国に含めており、いわば中国を「one of them」扱いしているともいえる。

 こうした点を総合すると、朝中関係には、いまだ隙間風が吹いているように思えるのだが、いかかであろうか。