rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年3月20日 金正恩による新型中・長距離極超音速ミサイル用固体燃料エンジン地上噴出試験指導を報道

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が3月19日、標記試験を指導したことを報じる記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 同行者等:記事中には記載ないが、添付写真に金正植党軍需工業部副部長、金予正副部長の姿あり
  • 実施概況:ミサイル総局と傘下発動機(エンジン)研究所が3月19日の午前と午後、西海衛星発射場で新型武器体系開発日程により実施
  • 試験結果:「重大試験の大成功によって、新型中・長距離極超音速ミサイル武器体系開発完成の時間表が確定」
  • 金正恩言動:「この武器体系の軍事戦略的価値は・・大陸間弾道ミサイルに劣らず重要」、「第8回大会が示した5カ年計画期間の戦略兵器部門の開発課題が立派に完結したことに大満足を表示」

 北朝鮮は、昨年11月にも、「新型の中距離弾道ミサイル用の大出力固体燃料発動機(エンジン)を開発し、その1段階発動機の初噴射試験を11日に、2段階発動機の初噴射試験を14日に成果裡に実施」したと報じている(15日報道)。このエンジンと今次試射実験が行われたエンジンがどのような関係なのか、前者を更に補完・発展させたものであるのか、あるいは、別途の用途を持つ異なる種類のものであるのか、よく分からない。

 なお、本ブログでは、本年1月14日に実施された「極超音速機動型操縦戦闘部を装着した中・長距離固体燃料弾道ミサイルの試射」に際し、昨年11月に噴射実験が行われたエンジンを実装したものと推測していたが(1月15日付け本ブログ参照)、どうやら、それは早とちりであったようだ。

 実際は、この時は、北朝鮮の発表通り「極超音速機動型操縦戦闘部」の試験であって、エンジンは従来型ものを使用しており、この「戦闘部」(弾頭の意か)と今次実験されたエンジンを結合することによって、「新型中・長距離極超音速ミサイル」が完成することになるのかもしれない。とすれば、いずれ、その発射実験が行われることになるのであろう。