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主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年3月19日 金正恩指導下での超大型放射砲の射撃訓練実施を報道

 

 本日の「労働新聞」は、「金正恩総秘書が重要火力打撃任務を受け持っている西部地区砲兵部隊の射撃訓練を指導」との見出しの下、金正恩が3月18日、「超大型ロケット砲を装備して重要火力打撃任務を受け持っている西部地区砲兵部隊の射撃訓練」を指導したことを伝える記事を掲載した。その骨子は、次のとおりである。

  • 同行者:金正植党(軍需工業部)副部長、張昌河ミサイル総局長(「訓練を講評」)
  • 訓練目的:「600ミリ放射砲兵区分隊(複数)の不意の機動と一斉射撃を通じて兵器体系の威力と実戦能力を確証し、放射砲兵の戦闘士気を増進させ、動員態勢を検閲・向上させる」
  • 訓練の概況:①「中隊単位の一斉射撃」(添付写真は、ロケット4発を搭載の発射車両(TEL)、6発の放射砲弾の一斉発射・飛翔場面、複数の噴煙が上がる島の状況をモニター画面で見て喜ぶ金正恩の姿などを紹介)。②「中隊一斉射撃の後、超大型放射砲弾による目標上空の設定高度での空中爆発模擬試験」も実施
  • 金正恩言動:「圧倒的な軍事力を抑止力として武力衝突と戦争の可能性自体を完全に取り除き、わが国家の平和と安定、主権をしっかり守るという強い意志を披歴し、砲兵武力強化と砲兵戦争準備完成のための重大戦略課題を提示」、「敵に武力衝突が発生し、戦争が起きるなら災難の結果を避けられないという認識を一層固めさせる必要があると述べ、・・常時、敵の首都と軍事力構造を崩壊させられる完備した態勢をもって戦争の可能性を遮断し、抑止する」、「超大型放射砲兵中隊の数を引き続き増やすべき必要性について強調」

 同ミサイル発射に関しては、昨日(18日)、韓国軍が「午前7時44分ころから8時22分ころまで、平壌一帯において数発が発射され、300余㎞飛行して東(日本)海に弾着した」旨を、日本防衛省が「午前7時44分ころ2発、午前8時21分ころ1発を発射し、最高高度約50㎞で北東側に350㎞飛行した」旨をそれぞれ発表していた。

 結果的に見ると、7時44分の発射は、6発の「一斉発射」であったようだが、これを韓国軍は「数発」と、防衛省は「2発」と発表したことになる。「一斉発射」が相手の監視探知から免れることを狙いにしたものであるなら、今次訓練は、そうした意味でも大成功であったということになろう。特に、防衛省については、ミサイルの発射情報に関する発表方法を検討する必要があるのではないだろうか。余りに正直に手の内をさらけ出しているように思われる。