rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年4月5日 基幹工業部門における第1・4分期人民経済計画完遂を報道

 

 本日の「労働新聞」は、第1面を費やして、「偉大な変革の進軍速度を加速化し人民経済計画全般を力強く牽引 基幹工業部門において新年度12個重要高地占領のための初分期人民経済計画完遂」と題する朝鮮中央通信の記事(添付写真多数)を掲載した。

 同記事は、各部門及び傘下主要企業所等の1・4分期における人民経済計画取り組み状況を詳細に紹介しているが、各部門全体の遂行結果に関する記述のみを抜粋すると次のとおりとなる。

  • 金属工業:「銑鉄、圧延鋼材、ケイ素鉄、鉄鉱石、耐火物など主要指標の初分期生産計画を遂行した」
  • 化学工業:「全国的な1・4分期窒素肥料生産計画が105%で遂行された」
  • 電力:「全国的な1・4分期電力生産計画が完遂された」
  • 石炭:「全国的な1・4分期石炭生産計画を109%で遂行した」
  • 機械工業:「機械工業省的な初分期計画を指標別で遂行した」
  • 採掘工業:「採掘工業省的な初分期計画が指標別で遂行された」
  • 鉄道運輸:「全国的な1・4分期貨物輸送計画を104%で完遂した」
  • 林業:「全国的な1・4分期丸太生産計画が105%で完遂された」

 昨日の本ブログで、内閣全員会議拡大会議における「初分期人民経済計画完遂」報告に対し、裏付けとなる報道がないとして信憑性に疑問を呈したが、本報道は、まさにそれに応えるものといえる(本ブログを読んで報じたわけではないであろうが)。

 こうした分期(あるいは月)ごとの部門別経済計画遂行状況が数字を含め具体的に示されるのは、比較的異例のことであり、従前に比すると今期の生産が順調に進んだことを示すものと評価せざるを得ない。

 金正恩も指摘しているとおり、平壌市及び各地農村での住宅建設に加え、「地方発展20×10政策」に基づく地方子業工場建設などと並行する形で、こうした基幹産業部門の生産が順調に進んでいるとすれば、その努力はそれなりに評価されるべきであろう。

 ただし、ここで基準とされている「12個重要高地占領のための人民経済計画」がかねて推進中の「国家経済発展5か年計画」と整合的なものなのか、換言すると、この「人民経済計画」を完遂しつづければ、それが直ちに「国家経済発展5か年計画」の完遂を意味することになるとのかについては、なお一層の検討の必要があろう。