rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2024年3月31日 金正恩の党中央幹部学校建設場現地指導を報道(加筆版)

 

 本日の「労働新聞」は、金正恩が現在建設中の党中央幹部学校の建設現場を現地指導した旨を報じる記事を掲載した(訪問日は言及せず)。その骨子は、次のとおりである。

  • 同行者:党秘書(複数)、「設計及び施工単位の関係者」
  • 建設経緯:党第8回大会、第2,4,6,9回全員会議で「党中央幹部学校を規模と収容能力、教育の条件と環境など、全ての面で先進的かつ近代的な政治学院に新たに建設することについて決定」、「(金正恩は)建設の敷地も自ら定め、設計の中心課題も細心に教えて中央幹部学校を大学の上の大学につくるための活動を精力的に導いた」、「昨年4月に着工」
  • 建設規模:「延べ床面積13万3,000余平方メートル」
  • 今次指導状況:「建設現場の各所を見て回って施工の状況を具体的に了解」、「設計部門および施工単位の幹部と建設者の労苦を高く評価」、「一部の欠点と不合理な要素について指摘し、それを正すための実務的な方途を具体的に明示」
  • 金正恩注目言動:「党中央幹部学校を立派に築いて党幹部を育成するのは朝鮮労働党の交代者を養成する党の展望的発展問題、ひいては革命の継承に直結する重大な問題
  • 今後の予定:「5月中旬に完工・・創立節に際して開校式を盛大に行う」

 党中央幹部学校は、いうまでもなく、かつての金日成高級党学校(1946年6月1日中央党学校として設立、72年4月15日に改称)を前身とする党幹部の最高養成機関であり、金正恩が22年10月、同校を訪問し記念講義を行った際に、新たな名称が広く周知された。その改編は、2020年に暴露された不祥事案を契機に行われたものとみられてきたが、正確な時期などはこれまで明らかにされていなかった。「5月中旬」とされる「創立節」に際して、改編時期などが明らかにされるであろう。

 また、新たな敷地での新校舎建設も、今次報道により明らかになった。金正恩指導の下で校名を改めるだけでなく、そこを新たな「創立節」=起点と定め、更に新校舎への移転を行うことで、同校は、「金日成」色を完全に払拭し、まさに金正恩の作った学校ということになる。前記「金正恩注目言動」に引用した発言には、そうした思いが込められているのであろう。

以下加筆

 本件に関する朝鮮中央テレビの報道番組では、「労働新聞」記事には添付されていなかった多くの写真が放映された。それを通じて同学校の規模の壮大さを実感させられたが、最も注目されるのは、校内の随所の掲示されているスローガンの大半が「金正恩」を含むものであることである。前述の「金正恩の作った学校」との表現は、「金正恩により作られた、金正恩のための学校」と補足したい。