rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

12月11日 白頭山地区革命戦跡地踏査行軍を開始(12日記)

 

 11日、「全国宣伝イルクン白頭山地区革命戦跡地踏査行軍」の開始が報じられた。先陣を切ったのは、「中央と地方の数百名の党宣伝イルクン(宣伝部門勤務員)」で、10日に現地で出発集会が開催されたという。

 その後、一行は、11日には「白頭山密営」(金正日の出生地とされる場所)はじめ各戦跡地を訪れたと報じられている。徹夜の行軍をしているのであろうか。

 ちなみに、白頭山が位置する三池渕郡は、10日付けの最高人民会議常任委員会の決定(政令)により、三池渕市に改編された。踏査行軍の拠点という意味も含めて、行政機能の充実を図るためであろう。

 金正恩が同地区の戦跡地踏査行軍を冬季にも実施するよう指示したことが報じられたのが4日のことである。それから1週間もしないうちに、上記行軍が開始されたことになる。指示を実践に移すスピードの速さに驚かざるを得ない。

 推測であるが、宣伝扇動部門が金正恩から従来の同地に踏査活動が「形式的」と批判されたことを受け、当該活動の主管部門として「率先垂範」の姿勢を示すべく、必死になって全国に動員をかけ、この日のスタートとなったのではないだろうか。

 もちろん、金正恩がそのような指示を出すに先立ち、内部的に何らかの決定がなされていた可能性もあり得る。金正恩の行動がそのような、いわば官僚組織に支えられた(ないしはそれと整合性を保ちつつの)ものであるのか、あるいは彼の独断専行的指示が先にあって、官僚組織がそれに振り回されているのか、というのは北朝鮮の政治運営の実相を見る上での重要な質問であろう。

 現時点でそれを確実に判断するだけの根拠は見いだせないが、今回の件に関する限りでは、前述のとおり、官僚組織が金正恩の指示にあわてて追随しいているような印象を拭えない(あくまでも印象論であるが)。