rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2月20日 記事「首領の思想は偉大な継承によってより輝く 朝鮮革命の百勝の真理を国際社会が共感」

 

 標記は、昨日の本ブログで紹介した、1974年2月19日の金正日による「金日成主義」宣布に関連した海外の動向を紹介する記事である。内容は、もちろん、昨日の労働新聞の評論と同様の称賛が各国においてなされているということを主張するものである。その中で注目されたのは、「金日成主義」と「金日成金正日主義」の関係を明確に論じた次の部分である。

 「南アフリカウィットウォッタレンド総合大学教授は、全社会の金日成金正日主義化は、全社会の金日成主義化の革命的継承であり、新たな高い段階への深化発展である・・・と強調した。」

 昨日のブログで記したとおり、両者の関係については、少なくとも対外的に公開される労働新聞などで、党の公式的見解としては明確に言及されていないと思われる(2014年2月25日、金正恩は、金正日の「金日成主義」宣布40周年に際して開催された党第8回思想活動家大会で行った演説の中で、そのことを称えると同時に、「金日成金正日主義」にも言及しているが、両者の関係については直接説明していない。北朝鮮の公式媒体がそれを超えた説明をすることはないであろう)。

 しかし、この「総合大学教授」の発言は、事実上、金日成金正日主義が金日成主義を「深化発展」させたものと言っているに等しい。これは、北朝鮮指導部が主張したいが、自らの口からはなかなか言いづらいことではないだろうか。何故なら、それは、金正恩の作ったものの方が金正日の作ったものよりも立派だということになるからである。もちろん、それは歴史発展の過程での出来事であり、「不敬」を意味するものではないとも言えようが、誰よりも金正日に忠実な息子であることを「売り物」にしている金正恩としては、本音ではそう考えているとしても、対外的に大きな声では言いにくいことではないだろうか。

 自らが直接言いにくいことを海外の支持者の口を借りて主張するのは、北朝鮮の常套的宣伝方法の一つであり、これもまた、そうした例ではないかと思う。