rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

4月27日 評論「社会主義の本質的優越性」

 

 標記評論には、「偉大な金日成金正日主義で徹底して武装しよう」とのサブタイトルが付されている。

 そして、その前には、「輝かし時代語 金日成金正日主義者」と題する解説記事があり、両者には一定の関係性もうかがえる。そこで、まず、この解説記事の内容を見ると、「金日成金正日主義者」の特性について次の3点を挙げている。①「金日成金正日主義を確固とした信念として堅持する革命家」、②「我が党の領導、敬愛する元帥様(金正恩)の領導を忠誠で奉じ、主体革命偉業の勝利のため力強く戦っていく不屈の闘士」、③「人民を天のように崇拝し、人民のため献身的に服務する人」である。しかし、①、②は、「金日成金正日主義」が金正恩によって創始されたことからして、いわば当然の内容であり、ここで実質的に強調したいことは、③であると思われる。

 標記評論は、そのような発想の延長線上で、「資本主義に比した社会主義の優越性について」、次の3つの点を根拠として論じたものである。ただし、そこには、まさに北朝鮮体制(とりわけ「人民大衆第一主義」の発想)の文字通りの「本質」が示されており、その点を中心に紹介したい。

 評論が主張する第一の根拠は、「人民大衆がすべてのものの主人となっている社会である」ことである。例えば、「政治は、人民が主人となって実施される人民大衆自身の政治となっている」と主張する。しかし、「社会主義社会において政治の主人としての人民大衆の地位は、革命的党と党の領導を受ける真の人民の政権、社会主義政権によって担保される」とされる。経済、社会についても同様の主張がなされている。

 第二の根拠は、「すべてのものが人民大衆のために服務する社会である」ことである。ただし、そのような福祉や利益は、「社会主義社会においては、人民大衆が党と国家の指導と見守りの中で先進的な思想文化と真の創造者、真正な享有者」になるとされる。

 第三の根拠は、「人民大衆の団結した力によって絶え間なく発展する社会である」ことである。ここでも、「社会主義社会は、首領の革命思想、社会主義思想に基づいて首領を中心として党と人民大衆が統一団結を成し遂げた社会であることからして最も高い発展能力を持つ社会となる」と主張している。

 評論は、最後に「人間中心の社会主義、人民大衆中心の社会主義は、最も科学的で、最も優越した社会であり、その科学性と真理性によって必ず勝利する」と結んでいる。

 このような主張は、北朝鮮のいう「人民大衆」なるものが、首領、党及びその領導を受ける国家の存在を前提とし、その枠内で福利を享受し、そこでの建設に参加することで創造性を発揮することができる存在として位置付けられていることを如実に示したものといえよう。究極のパターナリズムとしかいいようがない。しかも、そこでは、一人一人の個人の価値なり尊厳については、ほとんど着目されず、専ら集合としての「人民大衆」としてしか言及されていないことも留意されるべきであろう。