rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

4月26日 評論「先質後量の原則と内的動力強化」(4月27日記)

 

 「先質後量」及び「内的動力強化」は、いずれも昨年12月の中央委全員会議で、「正面突破戦」が打ち出されて以来、しばしば用いられるスローガンであるが、両者を結び付けた主張は珍しいといえる(ただし、結論的には、それほど意味のある関係性は示されていないのだが)。

 評論は、まず、現像認識として、「今、一部の単位においては、量的指標にだけ重きを置いて、質を軽視する偏向が現れている」とする。前述中央委会議で「質の重視」が「正面突破戦」の柱の一つとして示されたが、いまだ徹底していないということであろう。

 評論は、それに対して、「生産と建設において先質後量の原則を徹底して堅持することが本当の愛国であり、まさにここに生産正常化を実現し、内的動力を不断に強化していくことができる重要な担保がある」と主張する。ここでも、「愛国」が正当性の根拠となっていることを指摘しておきたい。一方、「先質後量」がなぜ「生産正常化」及び「内的動力強化」の担保となるのかについては、質の無視は結局、資源の浪費を招くといった程度の説明にとどまっている。

 評論がむしろ詳述しているのは、「先質後量」を実現する方法論である。例えば、それを実現している単位では、「集団内に技術規程と標準操作法、工法のような質的指標を厳格に遵守する規律と秩序が確立されている」と主張する。また、「突撃式、数字合わせ、日にち合わせで質よりもまず量と速度を優先する現象を警戒して増産競争を展開し、総括事業を行うにも質競争、質総括を優先視することを制度化し集団内に質向上の気風があふれるようにしなければならない」と訴えている。

 とりわけ強調されるのが「検査」の重要性で、「質検査において客観性、公正性、科学性の原則を徹底して守ることとともに、発展する時代の要求に合うよう品質監督事業を改善するための方法論を絶え間なく探求」することを求めている。

 更に、国家的な質確保の制度の重要性にも言及し、「国家的に品質認証体系を広く拡大導入し、12月15日品質メダルと2月2日製品評価を受けた生産単位を優待する措置も取って質向上のための競争熱意を積極的に奨励しなければならない」と主張する。ここでは、「12月15日品質メダル」、「2月2日製品評価」などといった顕彰制度の存在が示されており興味深い。

 以上の評論の内容からは、最近強調されている「質の重視」が、高品質のものを目指すというよりは、むしろ、量的ないし速度的目標を重視する余り質を無視した無茶苦茶な生産・建設は止めましょう、最低限の規格はしっかり守りましょう、といった趣旨であることがうかがえる。これまでは、そうした現象が余りにも多く、結局、それが経済の発展を阻害してきたとの反省に立っての呼びかけなのであろう。