rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

10月24日 評論「80日戦闘目標遂行と内的潜在力の総発動」

 

 標記評論は、「党の戦闘的訴えに心臓の拍動を合わせ職場ごとで奇跡と革新を創造しよう」との共通題目の下掲載されたもので、冒頭に、「80日戦闘目標を成果的に占領する上で重要な問題の一つは、現存生産土台を効果的に利用し経済部門間の連携を強化しつつ、内的潜在力を発動すること」とした上で、特に、「内的潜在力を総動員し生産的昂揚を起こす上で重要なこと」について敷衍したものである。

 評論は、そのためには、「まず、科学技術を堅持し、科学の力で不利な条件を有利に転換させつつ、増産の予備と可能性を積極的に探していくこと」であると主張する。そして、いくつかの生産現場の実例を挙げた上で、「(それらの)現実は、どこでも科学技術を先に立て現存生産土台を効果的に利用するための方途を積極的に探究し実践に具現するなら、生産を増やすことができる予備と可能性はいくらでもあることを示している」と主張する。

 昨日の本ブログでも、「80日戦闘」において科学技術重視が一つの柱になっていることを指摘したが、以上のような評論の主張からもそれが改めて確認できる。

 評論は、もう一つの課題として、「次に、内閣をはじめとした経済指導機関の指揮の下で経済部門が連携をより緊密に結び、互いの協力をより強化」することを掲げている。なかでも、「特に電力工業、石炭工業、金属工業、鉄道運輸部門の間の生産技術的連携と協同をより強化することは、人民経済全般が活力を持って前進することができるようにする上で重要な問題」であるとしている。あわせて、今日、「原料保障」が重要課題になっているとした上で、「今、多くの単位で不足する原料を自給自足するための事業を力強く展開し成果をあげている。このような経験を互いに共有し、生産消費的連携を密接にしていく」ことを求めている。

 このような主張は、いわゆる経済の「先行部門」が連携して経済活性化の原動力となっていくという、伝統的な戦略を改めて示したものといえようが、換言すると、相変わらず、それら部門間の連携を円滑に行うことができず、結局、各企業が「自給自足」に頼らざるを得ないという実情を反映したものともいえる。各企業の「自給自足」と「生産消費的連携」というのは、相反する目標とも考えられるが、それを並列せざるをえないところに、北朝鮮経済の苦しい実情が反映されているのではないだろうか。