rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

10月23日 「80日戦闘」最初の8日間の成果を誇示

 

 本日の「労働新聞」は、「党第8回大会に向けた今日の一日一日を忠誠と偉勲で輝かせよう 最初の8日間の戦闘計画を成果裡に遂行」との共通題目下、いくつかの部門における成果を紹介する記事を掲載した。

 まず、金属工業部門については、「銑鉄、鋼鉄生産目標達成」と題する記事において、「80日戦闘に進入したときから8日の間に各地鉄生産基地で銑鉄と鋼鉄生産目標を突破する革新を起こした。特に、金策製鉄連合企業所では、80日戦闘初日から銑鉄生産目標を毎日超過達成した。黄(海製)鉄(連合企業所)と降仙(製鋼連合企業所)の労働階級も果敢な生産突撃戦で顕著な実績を記録した」としている。また、そのような取組みにおいては、「増産の基本鍵は科学技術を先に立たせることにある」との認識があったことを紹介している。

 次に紹介されたのは発電部門で、「電力生産成長」と題する記事において、「電力生産計画を連日、超過完遂する成果を収めている」とし、特に火力発電部門においては、「80日戦闘が始まってから最初の8日間で電力生産計画を110%と超過達成した」としている。中でも北倉火力発電連合企業所については、「設備大補修と現行生産を共に推進しつつ電力生産目標を連日突破している」として、「予備と可能性を総動員し、科学技術を先に立たせる」取組みを顕彰している。

 また、石炭部門に関しては、「炭田が沸き立つ」と題する記事で、「石炭工業省的に総合された資料によれば、80日戦闘に進入し最初の8日間で、高く立てた石炭生産目標を102%と超過遂行する成果」をあげたとしている。同部門での取り組みは、「掘進を確固として先に立てより多くの炭田を準備するための事業をしっかりと進めつつ、埋蔵量が多く採掘条件が有利な箇所に力量を集中して石炭生産量を増やした」とされる。

 更に、鉄道運輸部門については、「重要物動輸送に連日革新」と題する記事を通じて、当該期間に「貨物輸送計画を1日平均102%と超過遂行している」ことを報じている。

 化学肥料生産に関しては、「農業戦線の兵器廠を守って」と題する記事を通じて、興南肥料連合企業所において、当該期間に「肥料生産計画を150%と超過遂行した」とした上で、同企業所が「不利な条件が一つ二つではないが・・科学技術の威力で生産を活性化」することに努め、「すべての生産工程において科学技術的要求を厳格に守るようにした」ことを顕彰している。化学肥料生産については、部門全体の実績ではなく、個別企業所の紹介になっていることからは、全般的成果が芳しくないことがうかがわれる。

 このほか、セメント生産に関連して、「大高潮戦闘場により多くのセメントを送っている―祥院セメント連合企業所において」と題して、同企業所からの出荷光景を写した写真が掲載されているが、記事は付されていない。同部門でも、記事にするべき実績は出ていないと考えられる。

 以上の記事で注目されるのは、「科学技術先行」が繰り返し強調されていることである。「〇〇日戦闘」というと、かつてはやみくもな労働強化による「速度戦」が連想されたが、それとは様変わりの印象がある。類似の看板の下でも、似て非なるものになっているとも考えられる。

 一方、ここで示されている実績は、必ずしも楽観的なものとは評価できない。というのは、部門全体で目標を達成できたとされているのは、石炭採掘と鉄道運輸部門だけであり、他部門の「超過達成」は、特定の分野や企業所に限定されたものであるからである。また、その石炭部門においても、実際は「有利な箇所に力量を集中」した結果、一時的に増産できている可能性がある。

 もちろん、「80日戦闘」における生産目標は、各部門とも、通常の期間よりも相当高めに設定されているのであろうが、それにせよ、最初の8日間の成果が以上のようなものであるとするなら、今後の息切れ、中だるみなどを勘案すると、その前途はかなり厳しいものになるのではないだろうか。