rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

10月22日 北朝鮮の科学技術開発における当面の重点課題

 

 本日の「労働新聞」は、「党8回大会に向けて科学技術の機関車を全速で」との共通題目の下、科学技術開発関連の記事をいくつか掲載している。その中の「総突撃戦の勝利を頼もしく担保していく覚悟高く 国家科学技術委員会幹部らと交わした話」と題する記事は、「80日戦闘」における主な取組み課題を訪ねる記者の質問に対する同委員会局長・崔知明(音訳)の回答を紹介している。

 それによると、同委員会では、喫緊の課題であるコロナ防疫活動への貢献に加えて、かねて国家の全般的政策的要請などを反映して選定していた「国家重点対象課題」に関し成果を上げることを目指すとしており、具体的には、次のような課題を例示している。

 筆頭に挙げられているのは、「エネルギー節約型の鉄生産工程を確立し、炭素ハナ化学工業創設を促進するなど、金属と化学工業部門発展に現実的意義が大きい何件かの課題」である。金属工業と化学工業は、今年の経済建設における「二本柱」に位置付けられており、それを反映した課題設定といえよう。

 次に「農業科学部門」において、「干拓地農事に必要な耐塩性の強い新品種の稲を育種し、その栽培技術を確立することが重要目標の一つ」となっているという。北朝鮮では、かねて海面の干拓・耕地化を大々的に進めており、耕地面積拡大の成果を増産につなげるために、そのような技術が求められているのであろう。

 続けてあげられるのが各地火力・水力発電所における「発電設備の効率性を高める」ための対策である。電力問題が北朝鮮のネックになっていることは言われて久しいが、発電所の新規建設には限界があるため、既存施設の能力向上を目指しているものと思われる。

 このほか、「鉄道現代化を実現するための実践的意義が大きい研究課題」「人民の健康増進に切実に必要な各種薬品を国産化するための課題」「経済作戦と指揮を情報化を高い水準で実現」「自然災害に対応するための国家的な危機管理体系を立てることに貢献するための課題」などが上げられている。

 これらがまさに北朝鮮が今現在、切実に欲している情報である。韓国にせよ日本にせよ、仮に北朝鮮との交流を真に望むのであれば、こういった知識の提供などを契機とすることによって、その門戸が開かれる可能性があるのではないだろうか。