rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2021年3月11日 資源リサイクルへの取り組みを強調

 

 本日の「労働新聞」は、「再資源化が経済発展の重要な動力となるように作戦と指揮を編成しよう」との共通題目下、資源リサイクルの取り組みを督励・紹介する評論・記事を掲載している。

 このうち、「一時的な解決策ではなく、恒久的な事業として」と題する評論は、従前の取り組み成果として、「昨年、火力発電所において排泄物を利用した保温材生産能力拡張に大きな力を生んだこと、諸被服工場において廃棄排泄物を再利用して原料、資材の多くの部分を解決した事実など」をあげつつ、「再資源化を(物不足への一時的な対応策ではなく)単位(各企業所等)発展の恒久的な戦略として把握し、実質的に展開」すべきことを訴え、そのための課題として、次の3点を挙げている。

 第一は「科学的な打算に基づき再資源化体系を正しく立てること」である。第二は「再資源化のための新技術開発と導入に力を注ぐこと」であり、そこでは、特に「実利保障、質向上の原則を徹底して守るべきとの条件」が強調されている。そして、第三は「単位の間の経験交流を活発に展開すること」があげられている。

 また、「収買事業を通じてみた昨日と今日の違い 平安北道幹部の事業をめぐって」と題する記事は、収買価格(古物の買取価格)を改定した結果、「(リサイクルに対する)人々の関心は高めるようになり、地方工業工場の活性化に必要な再生原料予備を十分に準備できる」ようになったことを紹介している。

 また、同記事には、「注文契約による収買」あるいは「移動収買」「現場収買」などの言葉もみえ、各地の収買機関が地域の生産単位と事前に古物買い入れの契約をしたり、居住地区を積極的に訪れたりして、古物の買い入れ量増大に努めていることがうかがえる。

 以上のような記事からは、北朝鮮当局がリサイクルに本腰を入れて取り組んでいることがうかがえる。もちろん、それは、「自給自足」体制の構築を最大の狙いとするものであるが、国際的な環境問題への対応などの潮流とも符合しうるものであり、将来的には、それを契機とした外部からの支援獲得などの可能性も考えられよう。とりわけ、是が非でも対北支援・協力を実現したい文政権にとっては、従前から活用してきた「人道」と並ぶ、「制裁除外」のための新たな名目となるのではないだろうか。