rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年6月24日 麦の収穫状況を報道

 

 本日の「労働新聞」は、第1面に「今年の農事で根本的変革を起こす高い熱意」と題する記事を掲載し、「全国的に小麦、大麦の収穫は、77%水準に達し、・・・多くの農場においては、収買まで完了した」ことを報じるとともに、各地の党組織・農業機関などにおける懸命の指導・取り組みぶりを紹介した。

 「労働新聞」が、「基本的に終了」とかでなく、「77%」といういわば中途半端な水準であるにもかかわらず敢えてこの時点で、こうした進捗状況を報じたのは、麦栽培が順調に進んでいることを国内に印象付けるとともに、更なる作業の進展に向け、関係部門に拍車を掛けたいとの狙いに基づくものであろう。

 また、「収買」にまで言及したことからは、収穫された作物がその後の乾燥、脱穀などの作業を経て当局の手に渡されることを重要視していること、すなわち、その過程が決して楽観できないものであることがうかがえる。

 麦類の作付面積拡大・増産は、2021年末に金正恩が打ち出した農村振興方針の大きな柱であるが、昨年はさほどの成果をあげられなかったとされるだけに、2年目を迎えた今年は、是非とも成果を誇示したいところであり、この記事は、そうした期待ないし意欲を反映したものといえよう。