rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年12月8日 最高人民会議常任委員会常務会を開催

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議開催を伝える朝鮮中央通信の記事を掲載している。同記事は、開催期日及び出席者については言及しないまま、以下の法令の「修正補充案を審議し、当該の政令を採択した」ことだけを報じている。

  • 情報化法:「国家管理と社会生活のすべての分野を情報化(するための)情報化事業の展望的、段階別計画作成と実行総括、情報化対象の構築と管理運営」などを規定した条項を具体化
  • 建設監督法:党と国家の建設計画が政策に執行(されるよう)建設監督を受ける任務、建設監督事業に対する指導」などを規定した条項を具体化
  • 食料品衛生法:食料品衛生安全基準を正しく定め食料品生産と販売、供給。保管において衛星学的要求を徹底して守(る)」ための内容を補充
  • 品質認証法:品質認証手続きと方法を改善し品質認証事業に対する指導統制を強化するための内容」を補充
  • 農場法:社会主義農業企業体としての農場の定義、穀物予想収穫高の判定、穀物義務収買計画の示達、農場事業の条件保障と関連した条項が修正」
  • 糧政法:「糧穀収買と加工、販売などで制度と秩序を厳格に立て糧政事業を発展させるための重要な問題が補充」

 今次会議における上掲の法律改定のうち特に注目されるのは、農場法及び糧政法の修正であり、その焦点は、農場からの糧穀の収買(国家による買い上げ)方法にあるとみられる。この点については、9月25日開催の第10期政治局会議においても、「糧穀収買と供給事業を改善し、党と国家の糧穀政策執行を阻害するあらゆる現象との闘争を強度高く展開することについて強調」された後、10月6日開催の最高人民会議常務委員会第22回全員会議において、「収買法」が制定された経緯がある。今年の秋の収穫後の収買事業を経ての経験などを踏まえて、同法制定だけでは足りない点などを農場法及び糧政法の改正によって補ったのであろう。こうした一連の経緯からは、この問題が相当重大なものとして取り扱われていることがうかがえる。当局にとっては、食糧配給の復活という体制保全にかかわる一大目標があり、一方、農業勤労者にとっても、収穫のうちどれだけを自分が確保できるかという死活的な問題であるだけに、収穫高をいかに見積もるかなどの技術的問題も含めて深刻な軋轢が生じている可能性も否定できない。