rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年12月7日 最高人民会議常任委員会第14期第23回全員会議を開催

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が12月6日、崔竜海委員長が司会して開催されたことを伝える記事を掲載した。同会議での決定事項は、次のとおりである。

  • 最高人民会議第14期第8回会議の招集を決定:「労働新聞」に別途掲載の「常任委員会決定」及び「最高人民会議招集に関する公示」によると、同会議の開催日は来年1月17日、議題は、①内閣の2022年事業状況と2023年課題、②2022年国家予算執行の決算と2023年国家予算、③平壌文化語保護法の採択、④中央検察所の事業状況について、⑤組織問題、とされる。
  • 社会給養法を制定:「社会主義商業の一部門としての社会給養の使命と性格」を規定、「人民の食生活需要と便宜保障(サービス提供の意)、国の料理技術発展のための社会給養網の組織と運営において厳格な制度と秩序を立て、それに対する行政的指導と法的統制を強化する上で提起される原則的問題」を明らかにしたもの
  • 中央裁判所判事、人民参審員の召喚・選挙

 以上の決定のうち、まず、最高人民会議第8回会議の1月開催及びそこでの議題①と②は、毎年の恒例的なものといえる。ただ、「平壌文化語(いわゆる標準語のこと)保護法」の制定は、おそらく、2020年12月制定の「反動思想文化排撃法」にも盛り込まれた韓国語風の話し方などを禁止する規定を更に拡充するためのものと考えられる。こうした法律の制定は、むしろ、そうした現象が一層蔓延していることを反映したものといえよう。また、④が議題として設定されたことは、検察組織の在り方に相当の問題が指摘されることを示唆したものと思われる。

 一方、今次常任委員会で制定された社会給養法は、記事の表現からすると、食堂をはじめとするサービス部門の営業活動に対する規制・監督にかかわる規定を盛り込んだもののようである。これまでも、内部資料などでは、食堂における酒類やカラオケ・サービスの提供を規制するなどの動きがみられたが、そうしたことを含め、利益一辺倒に流れがちな個別の機関・企業所などが経営する食堂などの営業を行政機関の監督下に置くことを法律の形で徹底しようとするものと考えられる。

 結局のところ、いずれも、社会的な統制強化の傾向が色濃く示された決定といえよう。