rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2023年2月3日 最高人民会議常任委員会第14期第24回全員会議の開催を報道

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が2月2日に開催されたことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。その開催状況は、崔竜海委員長が「司会」したことや出席者、傍聴者など、概して通例どおりであり、主な議題・結果は、次のとおりである。

1 法令の採択(法制委員会の法案説明後、意見を研究審議後、採択)

  • 国家秘密保護法:「秘密保護事業における制度と秩序を立て、国家の安全と利益、社会主義建設の成果的前進を保障するために貢献することを使命」
  • 鉄路管理法:「国土建設総計画にしたがって鉄路建設を進行し、鉄路保護管理のための事業体系を整然と立てることをはじめ、鉄路管理事業で提起される諸般問題と鉄路を利用する機関、企業所、団体において守るべき原則」
  • 秀才教育法:「専門分野別に特出した人材を育成できるよう整然とした秀才教育体系を立てより完備させていき、秀才教育機関と単位の学生選抜と教育綱領作成、教育条件保障など(を規定)」
  • 貸付法:「貸付申請と貸付契約締結と取消し、貸付金の償還と法的責任問題をはじめとして貸付事業で守るべき準則」
  • 国家象徴法:「すべての公民が国家象徴を丁重に扱い積極的に保護するようにし、国家象徴に対する教育教養事業に大きな力を注ぎ、我が国家に対する矜持と自負心、愛国心を深く扶植することについての問題などが規定」

2 その他

  • 「除隊軍人生活条件保障法の執行監督状況を総括し、徹底した法執行のための実務的対策が反映された最高人民会議常任委員会決定を採択」
  • 各級社会主義法務生活指導委員会に対し、新規制定法を通じた遵法教養の実質化指示
  • 内閣等機関に対し、「法施行規定と細則の正確な作成、示達」による党決定の貫徹の法的担保を強調

 以上の議題の中で注目されるのは、「貸付法」の制定である。誰が誰にどのような性格の貸し付けを行うことを想定した法律なのか、企業に対する経営資金の貸し付けなどが行われているということであろうか、そうだとすると、非常に興味深い動向といえるが、実情が判然としない。

 また、除隊軍人生活条件保障法の執行状況に対する総括が行われたということは、社会において同法の執行に何らかの深刻な問題が生じていることを示唆するものであろう。退職軍人の処遇問題は、かつて中国でも政治問題化したことがあったし、体制の安定確保の上で軽視できないものであろう。これも、実情が注目される。