rodongshinmunwatchingのブログ

主に朝鮮労働党機関紙『労働新聞』を通じて北朝鮮の現状分析を試みています

2022年10月7日 最高人民会議常任委員会第14期第22回全員会議を開催

 

 本日の「労働新聞」は、標記会議が10月6日、崔竜海常任委員長の司会により開催され、4件の法令を採択したことを報じる朝鮮中央通信の記事を掲載した。同会議で採択された法令と、その内容に関する説明は、次のとおり。

  • 危機対応法:「保健危機、自然災害危機のような非常危機の迅速に対応するための統一的な指揮体系と事業体系を整然と立て、危機発生時に利用すべき予備物資造成をしっかりと行い、防疫部門と保健部門、災害防止部門の物質技術的土台をしっかりと固めるのに必要な労力、設備、資材などを優先的に保障することで提起される原則的問題などが規定」
  • 収買法:「収買事業において制度と秩序を厳格に立て、収買品に対する人民経済的需要を円満に保障し、人民生活を向上させるために貢献することを使命」
  • 植物新品種保護法:「植物新品種権の申請と審議、保護と関連した内容」
  • 家畜種子管理法:「家畜の検定と登録、生産と供給及び販売、管理と利用などで守るべき準則」

 このうち、「危機対応法」は、最近開催された全国非常防疫総括会議(8月10日)及び国家災害防止事業総括会議(9月4日、5日)などでの総括内容などを反映したものとも考えられる。いずれにせよ、北朝鮮がこのところ重点的に取り組んでいる保健関連機構の充実や国土管理(治山、治水など)の推進などの危機管理体制の整備・充実を法令面で担保しようとするものと考えられる。

 また、「収買法」は、穀物や古物などを国家が買い上げる収買事業に関するものであるが、具体的な内容は判然としない。昨今の経済政策などから勘案すると、国家による穀物の買い上げを強化する(つまり市場などでの流通を制限する)方向の規定が盛り込まれたのでないかと推測される。

 「植物新品種保護法」及び「家畜種子管理法」は、それぞれのバイオ技術の保護・管理を主な狙いにしたものと考えられ、「知的財産権」を法的に保護する動きとして注目される。